なぜ吉野家とスイス時計は“大混乱”に陥ったのか いまだにこんなことが起きる背景:責任は経営者にあり(1/3 ページ)
吉野家のヘビーユーザー向けに、オリジナル名入り丼がもらえるキャンペーンが炎上。スウォッチがオメガとコラボした特製モデルを発売したところ、大混乱に。なぜこんなことがいまだに起こるのだろうか。
著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた):
株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
牛丼の吉野家のヘビーユーザー向けに、オリジナル名入り丼がもらえるキャンペーンが炎上しました。一方、牛丼の対極ともいえる高級ブランドでも、スウォッチがオメガとコラボした特製モデルを発売したところ、店舗が人であふれかえり、整理券配布すらできない大混乱となる事件が起きました。 なぜこんなことがいまだに起こるのでしょう。それは経営者の危機管理意識とITリテラシーにあります。
(1)吉野家ドンブリ事件
吉野家が1回300円以上買ったお客が「1マイル」をもらえ、最高位のマイルを集めればオリジナルの名前入りドンブリがもらえるキャンペーンを、昨年7月から実施しました。
丼は毎日8カ月以上食べ続けないともらえないという苦行(マイル2倍デーなど細かいルールあり)を求める以上、特に気合いの入った応募者が集まります。中には自分の店など本名以外でオリジナル丼を作ろうと挑戦した人もいたようです。
吉野家は当初問合せにおいて、それらも可能と応えていたにも関わらず、やっぱり本名しかダメという方針転換が行われたことで、大きな反発を呼びました。さらにその問合せやり取りが不誠実であり、客が悪いとも取れる回答文面がネットでさらされ、批判は止むことなく燃え上がっています。
(2)高級ブランド店炎上
スイス時計オメガとスウォッチがコラボしたモデルが発売されましたが、発売日の発売時間には渋谷や大阪の店舗に購買者が殺到し警察沙汰となり発売は中止されました。およそ高級時計と似つかわしくない騒然とした光景がニュースでも流れました。
確かに結果としてスウォッチ/オメガが話題となりましたが、こんな話題を狙ったものだったのでしょうか? マーケティングの一環で、目立つキャンペーンは昔からあります。
私マーケティング担当者時代、どうすれば少ない費用で効果が極大化できるか日々考えました。しかし究極に目立つのからといって、犯罪など非合法な手段は論外。警察ザタなど迷惑かける選択などはあり得ません。
スウォッチはわざわざ警察を巻き込んでニュースになるようなプロモーションを狙ったとは到底思えず、単に今の市場環境を全く理解せず、昔からのプロモをそのままやってしまったのではないかと想像します。
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