民放テレビ局10社、地上波番組をネット同時配信 きょうから「TVer」で:スマホなどで視聴可能に(2/2 ページ)
民放10局が地上波で放送するテレビ番組をネットで同時配信する「地上波リアルタイム配信」を解禁する。4月11日午後7時以降に放送する番組が対象で、民放公式テレビ配信サービス「TVer」で視聴できるようにする。
民放各局はこれまで、五輪やサッカーW杯などスポーツの試合をネットで同時配信する取り組みを一部で実施していたが、地上波のテレビ番組をリアルタイムで視聴するには基本的にテレビチューナーを搭載した機器が必要で、ネットで視聴するには番組終了後の「見逃し配信」を待つ必要があった。
同時配信に合わせてTVerでは、放送途中でも番組冒頭から視聴可能な「追っかけ再生」機能や、気楽にチャンネルを変更できる「ザッピング」機能を追加で提供。今後の放送予定や過去の配信状況を一覧化した「リアルタイム配信番組表」も新規追加した。
ただ、リアルタイム視聴の対応端末はPCやスマートフォン、タブレット端末。テレビアプリや「Chromecast」経由での視聴には対応していない。
同サービスの運営元は「ゴールデン・プライムタイムを中心とした人気番組の数々を、 地上波と同時にリアルタイム配信で視聴できる。いつでも、どこでも、テレビ番組をリアルタイムで楽しんでほしい」としている。
TVerは15年10月にサービスを開始。主要10局のバラエティー番組やドラマを中心に配信コンテンツ数は400以上、専用アプリの累計ダウンロード数は4000万以上(いずれも21年8月時点)を記録している。
総務省の調査などによると、近年は若年層を中心にNHKをはじめ地上波のテレビ番組を視聴しない「テレビ離れ」が進みつつある。番組を見ていないにも関わらず、テレビがあるだけでNHK受信料の支払い義務が生じる現行の放送法に対する反発や、サブスク動画サービスの普及などは、そうしたテレビ離れに拍車をかけている。
ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが21年12月に発売した、チューナーレスの“地上波が映らないテレビ”こと「ネット動画専用スマートTV」が品薄になるなど、テレビ業界には逆風が続いているが、スマホでの番組視聴はデジタルネイティブの若年層には親和性が高い。TVerのリアルタイム配信は、テレビの逆襲の一手になり得るか。
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