「ふさわしくない」は的外れ 100円ショップやワークマンの「銀座」進出が歴史的必然なワケ:世界トップクラスの立地(2/4 ページ)
ダイソーのような100円ショップやワークマンが次々と銀座位に進出している。イメージアップのためと考えている人も多いかもしれない。筆者はビジネス上のメリットが他にもあると指摘する。
銀座エリアの賃料相場は戻り始めている
銀座エリアは日本の店舗物件賃料相場の中で、最も家賃の高いエリアの一つです。アジアでは2位、世界でもトップ10に入る高さです。銀座エリアの1階家賃は坪6万円というのが相場ですが、22年第1四半期の最新家賃は坪8万円を超えています(出所:日経不動産マーケット情報)。コロナの影響で一時期は6万円程度まで落ち込んでいましたが、またここにきて上昇しています。一部のラグジュアリーブランドなどが入居する物件(銀座の好立地で1棟丸ごと物件)の家賃は、坪25万〜40万円とコロナ禍前の高水準に戻り始めています。
実はこのような高額な賃料を払ってでも出店したいという企業は、ラグジュアリーブランド以外にも存在します。それは高級時計やブランド品の買い取り販売の店です。
その一つが「GINZA RASIN」です。「超ロレックス専門店」というキャッチフレーズで、銀座中央通り沿いに22年2月に出店しました。常時1000本以上のロレックスを在庫し、大人気のシリーズ「デイトナ」も100本以上品ぞろえしています。周辺にはスウォッチグループジャパンの本社「ニコラス・G・ハイエックセンター」、ヴァシュロン・コンスタンタンやグランドセイコー、モンブランなども店を構える立地です。
まさに世界中の高級時計ブランドブティックがひしめくこの場所に、時計の中古品店が出店したのです。そして同店には、日本中のロレックスマニアが集まり、店頭価格で500万円前後するロレックスが飛ぶように売れています。週末には数十本売れることも珍しくないようです。20本売れたら1億円の売り上げですから、ラグジュアリーブランドにも負けない売り上げを誇る業態です。富裕層の資産運用の一つとして使われている側面はありますが、それでも銀座の中央通りに中古の店が出店するというのは、これまでの常識では考えられないこと。それほど今、勢いのある業態がユーズドやリサイクルといった中古販売業態です。
買い取り販売の大手、KOMEHYOも22年中に銀座に2店舗を出店する計画です。銀座であれば、同社が買い取りたい質の高いブランド品や貴金属類を持っている富裕層を取り込みやすいからです。その意味では都心型百貨店があり、ブランドブティックが立ち並び、いいお客さんが集まってくる銀座は最高の立地といえます。22年7月に「KOMEHYO 銀座 PLUS」を、同年11月には「KOMEHYO 銀座店」を出店し、銀座での知名度をさらに高める狙いです。
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