社員に「空気読ませる」のはNG テレワーク時代に求められるマネジメントとは?:“ゆるいマネジメント”からの脱却へ(2/4 ページ)
コロナ禍に伴うテレワークの定着で、チームマネジメントの在り方に変化が求められている。社員が成果を発揮するために必要なマネジメントの3つのポイントとは――。
社員に「あうんの呼吸」求めるリスク
そんな調子なので、“ゆるいマネジメント”がまかり通る会社では、管理職からの指示が曖昧で分かりづらかった場合でも、統制の隙間を埋める役割を社員側が担わされることになりがちです。管理職に「何をどうすればいいんですか?」などと下手に尋ねたりすると、煩わしいと思われたり、自分で考えろ、などと睨まれてしまうことになりかねません。社員はそうならないよう、察する力を最大限働かせることになります。
例えば、ある社員が管理職から「最近、売り上げが伸びないな」と言われたものの、指示が曖昧な場合。何をすれば良いのか判然としなくても、社員は管理職が求めていることを自分なりに察して動かなくてはなりません。社員が営業職であれば、他の営業職社員たちを集めてミーティングを開き、売り上げアップ策を話し合って管理職に提案する、といったイメージです。
しかし、それが管理職の意図に沿った行動なのかどうかは分かりません。「最近、売り上げが伸びないな」という言葉に込められた真意が、実は売り上げを伸ばすことは難しいので、経営管理部門に売上目標を下げてもらう交渉をするための材料がほしかったのであれば、社員たちの売り上げアップ提案は管理職の意図とズレることになります。その場合、市場環境が著しく厳しいなど、売上目標が現実に即していないと証明できる情報がほしかったはずです。社員は管理職の指示が曖昧でゆるくても意図を正確に汲み取れるよう、察する力を日々磨いておく必要があります。
そんな“ゆるいマネジメント”には、社員の察する力を育んでいる側面もあるのかもしれません。しかし、もし社員がズレた察し方をしていることに気付かないまま軌道修正が遅れれば、チームが意図せぬ方向へと走っていってしまうリスクもあります。リスクを回避するには、管理職と社員が「あうんの呼吸」で動けるほど、関係性を密にしておかなければなりません。そのため管理職は、密な関係性を築くための手法としてコミュニケーションの場を大切にします。
代表的な場の一つが、夜の飲み会です。「飲みニケーション」という造語が広く知られているほど、飲み会を通じてのコミュニケーションは社員間の関係性を密にする手段として用いられてきました。仕事終わりに「よし、今日は飲みに行くぞ!」と管理職が社員を誘い夜の街に繰り出すというのは、日常の職場で幾度となく繰り返されてきたワンシーンです。
また、日々職場の中で交わされるちょっとした雑談はもちろん、定期的に開催される部門または全社の集会、泊まり込みの合宿研修など、同じ場に集う接点の回数や濃さは、密な関係性を構築する上で重要視されてきました。
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