佐野ラーメンの味を東京に! 東京ラーメンストリートに初出店した「麺屋ようすけ」社長:東京ラーメンストリートの舞台裏(2/5 ページ)
各地を代表する名店を出店している「ご当地ラーメンチャレンジ by 東京ラーメンストリート」で、「麺屋ようすけ」が6月13日まで出店している。田邉庸介代表に、その思いを聞いた。
帯状疱疹になり髄膜炎を併発 厳しい経営に
――12年に開業して10年がたちました。これまでの歩みを、どう捉えていますか?
オープンして2カ月で帯状疱疹になり、それが悪化して髄膜炎を併発してしまいました。それで1カ月くらいお店を休まざるを得ませんでした。オープンしてすぐでしたし、店は800坪で54席の大箱ですから経営は厳しかったです。
――大病を患われたのですね……。その状況からどうやって立て直したのですか?
平日夜の営業は午後5時から午後9時なのですが、最初は4、5組しかお客さんが来ず、スープを作っても余ってしまう状況が続いていました。ですが、「お客さまに満足していただくラーメンを」と試行錯誤を続ける中、半年ぐらいたって、徐々に認知してもらったり、食べログなどに取り上げてもらったりして状況が好転してきました。
――10年前といえばちょうどSNSが始まったころですね。佐野ラーメンのお店はたくさんあると思いますが、いかにして差別化を図ったのですか?
食べ歩き好きの人がTwitterを使って投稿してくれたのも大きかったです。
ご当地ラーメンなので佐野ラーメンを食べに、いろいろな地域のお客さんが来てくれます。だからどのお店も、昼の営業では、ある程度の売り上げが見込め、経営的には大丈夫なのです。差がつくのは夜の営業です。地域に根付かないと夜の営業で勝てないのは分かっていました。町内の全ての家に名刺を配ったりして知名度を上げる努力をしていました。
――そして高い評価を受けたのですね。
佐野ラーメンをもっと多くの人に知ってもらいたいという大きな思いがありました。だから良いラーメンを食べてもらって喜ばせたい思いを全面に出している。それだけなんです。
全国には老舗ラーメン店が多くあります。その中で、佐野ラーメンとしての誇りを持ち、若い力で活気があって元気がある店の雰囲気作りを心掛けています。正直、味だけではなく、プラスアルファがないと大きな差がつきにくいところもありますから。
――夜の営業ではお酒を提供することもできますから、利益のことを考えれば、ラーメン以外にメニューを充実させようとする考えもありますね。
おつまみはありますが、基本的にラーメン一本で勝負しています。それは飲み屋ではなくラーメン屋としてやっていきたい思いが強かったからです。
――コロナ禍でラーメン店の倒産も相次ぎました。どのように運営して乗り切りましたか?
幸い、お昼の営業に関してはそれほど大きな影響はありませんでしたが、夜営業ではある程度売り上げが落ち込みました。その間、地元のお客さまに支えられ、来店されるお客さまに一杯一杯、丁寧にラーメンを提供することにより、あらためて一人のお客さまを大切にするという考えを再認識しています。
――感染対策はどうしていますか?
地方自治体から飲食店向けに発信されているガイダンスを順守しています。検温、消毒、ソーシャルディスタンスのほか、注文を券売機でするようにして、店員とお客さんの接触を減らす努力をしています。
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