喫煙所に代わる社内コミュニティ「井戸端会議」の場をどう作るのか?:総務のための「オフィス」再考(3/4 ページ)
どうして喫煙所は繁栄しているのに、休憩コーナーは育たないのか? 総務として理由を考え、たどり着いたのは、2つのシンプルな答えでした。
改正健康増進法など法律が厳しくなる中、対策をしなければいけないのが総務の立場です。換気回数が少なく、分煙も弱い喫煙所を設置してしまい、社員から訴えられたというケースもありましたので、喫煙所を維持する場合でも神経を使います。
そんな時代の流れもあり、井戸端会議の役割を期待して、オフィス内に喫煙所を意図的に設けることは難しいです。しかし社内コミュニティーを醸成する場の必要性は、爆発的に増加しています。
ハイブリッドワークなど、社員が分散された働き方が主流となりつつある中で、オフィスに来た際、井戸端会議のような雑談できるコミュニティーの重要度は、身に染みるほど感じています。井戸端会議の雑談の中からアイデアや気付き、信頼関係などが生まれ、社員のエンゲージメント向上、経営の活性化などにつながるのは自明です。
総務として新たな仕掛けが必要になりますが、どう実現したら良いのでしょうか。筆者はアプローチの原点は変わっていないと思います。前述の通り(1)大義名分と(2)サボっていると思われない安心感の2点です。その大義名分が時代とともに変わってきているだけです。
今も将来も、この2点だけに注力してアイデアを絞り、オフィスをどんどんアップデートして行けば、社員の井戸端会議は続いていくと考えています。総務が社員を巻き込んで、アイデアを出してみたらいかがでしょうか。
例えば、すぐに思い付くのは井戸端会議の原点でもある「水」です。井戸端会議もそこに「水」があったからコミュニティーが形成されました。いくら家具や照明にお金をかけて休憩スペースをデザインしても、そこに水(水分補給)がなくては人は集まりません。ワンコインで買えるお菓子のスペースさえ置けばいい──という考えでは、1人のお腹は満たせても、コミュニティー形成には不十分なのです。
オフィス空間の評価基準「WELL認証」(Well Building Standrd)では「どのワークスペースからも30メートル以内に水の補給ポイントが必要」と定義し、評価の加点ポイントとしています。オフィスに適切な水の補給源がなく、普通の自動販売機(しかも通常料金)しかない──という状況では、社員がコミュニティーを形成できないどころか、会社へのエンゲージメントも上がらないでしょう。
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