ラグビー中継に「22万円!」 凸版印刷の“見たことがないトライ”が面白い:週末に「へえ」な話(2/5 ページ)
7月2日、ラグビー日本代表は、フランス代表と戦ったものの、残念ながら負けてしまった。スタジアムで熱い戦いが広げられたわけだが、東京の渋谷で盛り上がったイベントがある。これまでになかった企画は……。
チケットの価格にびっくり
もう1つの驚きは、チケットの価格である。一番高い席は、なんと22万円である! 定員7人なので、割り勘すると、1人当たり3万1428円。た、高い。他のチケットを見ても、20万円で定員5人(1人当たり4万円)、17万5000円で定員4人(同4万3750円)、15万円で定員4人(同3万7500円)である。庶民の手が届くチケットはないのかしら? と探してみると、最も安いものはスタンディングで(つまり、イスに座ることができない)1万2500円である。
安いニッポンではちょっと考えにくい値付けであるが、チケットは売れたのだろうか。22万円の席は初日に完売。その後も20万円、17万5000円、15万円の席は売れていって、最終的には7割ほど売れたとのこと。スタンディングも7割ほど売れたそうである。
ラグビー中継×飲食×解説×音楽×照明――。これまでになかったイベントにもかかわらず、たくさん人が集まったことは、“合格”と言えるのかもしれない。それにしても、ラグビー日本代表のスポンサーを務めている凸版印刷は、なぜ畑違いのことを始めたのだろうか。
その謎を解くためには、時計の針を2019年に戻さなければいけない。この年に、何があったのか。新型コロナの感染が広がる前の話なので、「あまり覚えていないなあ」という人も多いかもしれないが、ラグビーのワールドカップが日本で開かれた。「そーいえば、海外からファンがたくさん来ていたし、日本代表はベスト8までいったよな」と思い出されたかもしれない。
このとき、凸版印刷は何をしていたのか。会場でVIPを迎えたり、席まで案内したり。このほかにもさまざまなことに携わる中で、ワールドカップ全体を通して、うまくいった点とうまくいかなかった点を実体験で学んでいった。
うまくいった点は、飲食、エンタメ、ギフトなどのサービスを観戦券と組み合わせて販売したこと。いわゆる「スポーツホスピタリティ」が国内で根付き始めた。またチケットを入手できなかった人でもスタジアム外で楽しめるように、パブリックビューイングが237会場で行われた(組織委員会に申請された数)。
一方で、うまくいかなかった点は、「飲食」である。スタジアムの中で食事をとることができたわけだが、「価格のわりには味がちょっと……」という不満の声が目立った。また、パブリックビューイングを開いたものの、「快適ではなかった」という意見も。
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