金沢の人気ラーメン「神仙」が東京駅に進出 廃業寸前から10店舗まで拡大した「起死回生の一手」:東京ラーメンストリートの舞台裏(3/6 ページ)
今や金沢を代表する人気ラーメン店も、一度は廃業寸前まで追い込まれたことがあるという。どうやってそこから東京駅進出まで躍進したのか。その起死回生の人生を聞いた。
万人に3点ではなく5点か1点
――お店はいつ再開したのでしょうか。
忘れもしない07年12月28日に再オープンしました。年末で本当は休みたかったんですけど、売り上げが立たないと支払いができないので、その年のうちに再開しました。
よく「オープンは、いつですか?」と聞かれるんですが、本当は05年ではなく07年と言いたくなる時があります。それくらい、お店を閉める前と後では全く味が違うんです。
――顧客の信頼を一度失い、再開後はどうやって取り戻していったのでしょうか。
うちのお店が金沢の中央卸売市場にあって、近くに石川県庁もあります。まずはこうした場所で働くサラリーマンさんに食べてもらって、そこから「おいしい」という評判が立っていったのが始まりですね。県議会議員さんや市議会議員さんもいらっしゃるようになっていって、こういった方たちから口コミで広がっていった感じです。
――どういう評判だったのでしょうか。
多かったのが「なんか分かんないけど無性に食べたくなるよね」といったものでした。「神仙」で出しているラーメンって、醤油でも味噌でも塩でもない、それまで金沢にはあまりないラーメンだったんです。そこがまずお客さんに受け入れられたようです。
――「なんか分かんないけど無性に食べたくなる」というラーメンがあるのはすごくよく分かります。それを狙って作ったのでしょうか。
正直、狙って作ったわけではないですけど、僕もそういうラーメンが好きです。なんかふとした時に今日は「神仙」のラーメンを食べたいなっていう味にしていきたいとは今でも考えていますね。
5点満点中で、万人に3点で評価してもらうのではなく、5点か1点かで分かれるようなものを目指していくのがいいのかなと僕は思っています。ラーメンの常習性を意識してきれいすぎない味作りを心掛けています。
――万人に愛されるより好きな人には堪らない味を目指しているわけですね。
自分が好きな豚骨ラーメンを作りたいというところからスタートしたので、みんながみんな食べてただ「おいしい」と言ってもらえるようなラーメンではなく、そのうちの誰かが「このラーメンが一番だよ」と言ってもらえるラーメンを目指して、今もやっています。だからこそファンになってくれる人を絶対に裏切らないようにはしたいと考えています。
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