金沢の人気ラーメン「神仙」が東京駅に進出 廃業寸前から10店舗まで拡大した「起死回生の一手」:東京ラーメンストリートの舞台裏(5/6 ページ)
今や金沢を代表する人気ラーメン店も、一度は廃業寸前まで追い込まれたことがあるという。どうやってそこから東京駅進出まで躍進したのか。その起死回生の人生を聞いた。
「許す」という気持ち 自分の責任として捉える
――河方社長は自分でもラーメンを作られていたわけですが、今では経営者として現場からは引いていることが多いと思います。自分で作りたくなることはないですか。
しょっちゅうありますね(笑)。確かに厨房に立つ機会は少なくなりましたが、期間限定のラーメンを開発する時には、夜に自分が厨房に立って、レシピを考えたりします。
――マネジメントの立場で気を付けていることはありますか。
抽象的かもしれないですけど、一言で言ったら「許す」ということをテーマにしています。従業員が失敗した時に、「何でできないの」と責めるのではなくて、どうやったらまずできるようになるのか、それを一緒に考えたり、信頼して見守ってできなかったりした時でも「許す」というのはテーマにしていますね。
――「許す」という気持ちがあれば、自分の責任として考えられるということなんですかね。
そうですね。人を変えようと思ったら傲慢な考え方になってしまいます。考えさせることによって、その人に変わってもらうことを意識するようにしています。その人にとってふさわしい接し方というのは、その人の教育の仕方によって違ってきてしまいます。
――接客面で指導していることはありますか。
マニュアルとしてがっちりしたものはないんですが、まずは絶対的に笑顔と元気、仲間内でのあいさつを大事にしています。朝の「おはようございます」とか「よろしくお願いします」というあいさつだけでも、「今日この子ちょっと調子悪いな」というのは分かってきます。
ラーメンでも、一昔前は味だけで勝負する店もあったと思いますが、今では「おいしい」は当たり前になってきています。なので、自分たちのラーメンを売るだけじゃなくて、さらに感動とか活力とかといったプラスアルファを売っていかないといけません。
――ラーメンだけを売る時代ではないということですね。
ラーメンだけ売っていたら「はいどうぞ」で終わるんですけど、そのお客さんがラーメンではなく自分を好きになってもらうというのが一番ですね。「このラーメンおいしいよね」って言われるより、「あんたがおるから来るんだ」って言われるほうが僕は勝っていると思います。
僕たちはラーメンを売っているんじゃなくて、感動とか活力を売っているんだっていうことは社員やアルバイトさんにはよく言っています。
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