ライブビューイングは廃れるか バンダイナムコのライブエンタメ戦略を聞いた:デジタルの利点を追求(2/4 ページ)
バンナムフェスでは『アイマス』や『ラブライブ!』『アイカツ!』シリーズなど、バンダイナムコグループから生まれたアイドルが楽曲を披露した。音楽フェスを展開する狙いをバンダイナムコエンターテインメント・クロスメディア課の吉本行気さんに聞く。
西川貴教の伴奏はLUNA SEA
――今回は、T.M.Revolutionの西川貴教さんの伴奏をSUGIZO&INORAN from LUNA SEAさんが務めるなど、演者間でコラボする場面も少なくありませんでした。前回は作品間の垣根を越えたことも話題になりましたが、これもフェスならではとも言えそうですね。
西川さんとLUNA SEAのSUGIZOさん、INORANさんがステージで共演する場面があったわけですが、ああいうライブを提供できたのは良かったですね。この共演が実現したことで、会場を訪れたファンだけでなく、ロック界隈(かいわい)の方々に、Twitter上などで反応していただいたんです。「バンナムフェスでそれが実現するんだ」っていう驚きをもってくれたことは、次回以降にもつながると思っています。
――どういう経緯から西川貴教さんとLUNA SEAさんの共演が実現したのでしょうか。
西川さんとLUNA SEAさんは、それぞれガンダムの楽曲を担当している点で共通していました。それで今回のフェスでそれぞれ出演いただくことになった際、せっかくなのでフェスのサプライズの一つとしてお願いしてみたところ、ご快諾いただけた流れになりますね。
――出演者間の調整など大変だったことはありますか。
2度にわたる延期を経ているので、そのモチベーションの維持や、出演者さんのスケジュールの確保は大変でした。当初の予定より1年以上も開催期間が空いてしまい、これにより会場も変更になりました。ただ、西川さんとLUNA SEAさんという組み合わせだけでなく、例えば『アイマス』と『ラブライブ!』のキャスト同士が顔を合わせる貴重な機会にもなったと思います。
各作品のキャスト同士が一緒に記念撮影をしている写真がTwitterで話題になるなど、ファンから大きな反響があったことにやりがいを感じています。
――一般発売のチケット代が1日1万3000円になり、『アイマス』や『ラブライブ!』だけのライブを目当てにしていた人からすれば「高い」という声もありました。ただ、5時間超という時間で、さまざまなグループやアーティストの演奏が観られた点で、お得感もあったのかもしれません。
そこは本当にフェスならではのことでしょうね。ファンの方々にどう認識していただけるのか、今後それがより重要になっていくなと思っています。
ただ、今回のフェスも含めコンサートビジネスって、始まる前はブラックボックスで、実際に現地に行って体験しないと中身のよしあしが分からないリスクの高い商品なんですよ。特にフェス形式って、まず来てみないとどんなものか分からないので、今回会場に来場しかったファンの気持ちは、非常によく分かります。
もちろん、一度来ていただけさえすれば、いいものを提供している自信はあります。ですから、バンナムフェスの良さを少しでも多くの方々に理解いただけるように、着実に進めていくしかないと思っています。
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