ライブビューイングは廃れるか バンダイナムコのライブエンタメ戦略を聞いた:デジタルの利点を追求(4/4 ページ)
バンナムフェスでは『アイマス』や『ラブライブ!』『アイカツ!』シリーズなど、バンダイナムコグループから生まれたアイドルが楽曲を披露した。音楽フェスを展開する狙いをバンダイナムコエンターテインメント・クロスメディア課の吉本行気さんに聞く。
ライブビューイング文化は廃れるか
――コロナ禍以前はライブの映像配信が少なかった一方で、映画館などでのライブビューイングが盛んでした。最近はコロナの規制も緩和され、ライブ配信と並行してライブビューイングも再開しています。手元のスマホによって配信でも観られてしまう以上、ライブビューイングという文化が廃れていきそうな懸念もあります。その辺りはどう見ていますか。
7月に『アイドルマスター 765PRO ALLSTARS』のライブを幕張メッセで開催しました。これまでの現地チケットと配信チケットに加え、ライブビューイングチケットの販売も開始しました。値段はライブビューイングチケットを一番安く設定しています。
映像配信が盛んな時代でもライブビューイングを実施する理由としては、ライブビューイングならではの体験価値があると、運営側として考えているからです。やはり、ライブビューイングには長年築き上げられてきた独自のカルチャーがあります。見ず知らずの同好のファンと一箇所で集まってライブを観る機会はそうありませんから。
もちろん現地で観るのが理想かもしれませんが、どうしてもチケットが当たらなかったとか、東京まで来られないなどといった理由から、ライブビューイングのニーズは根強くあるんですよね。
――コロナが完全に落ち着いた後も、ライブの映像配信は続けていくのでしょうか。
続けていきます。映像配信の利点は、海外の方でも視聴しやすい点にあるんですよね。海外でもライブビューイングをやる地域もありますが、どうしてもカバーできる範囲が限られますから。また、デジタルならではの楽しみ方も定着しつつあるので、一つのカルチャーとしても維持していきたいです。
――コロナ禍以前では、海外在住の人に向けた、ライブチケット付きの日本への旅行ツアーも販売していました。
今の時点では再開を検討できる段階にないですね。これは海外でのライブツアーも同様です。どうしてもライブをやるとなると大所帯の移動になりますから、まずは配信からですね。
実際に配信をやり始めてから、海外からの需要に応えられることも分かったので、まずはデジタルから海外への戦略も再開していきたいと考えています。
――つまりコロナ禍が落ち着いて以降も、バンナムグループのライブとしては現地とライブビューイングと配信の3本立てで、3つのライブの楽しみ方を提供していくわけですね。
そうですね。やはり現地にいかに来ていただいて楽しんで帰っていただけるかというのは、コンサートを作る事業としてはもちろん最重要視しています。ただ、そこからチャネルの裾野を広げることによって新しい興行の形態が出てきます。
これをビジネスチャンスとして捉えて、新しいそのモデルを作っていく。そういったことにも引き続き取り組んでいきます。
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