なぜAOKIは“うまみ”の少ない五輪のために、「危ない橋」を渡ったのか:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
紳士服大手AOKIの前会長・青木拡憲氏が贈賄疑惑を認め始めた、とマスコミ各社が報じた。それにしても、なぜAOKIは“うまみ”の少ない五輪ライセンス商品のために、「危ない橋」を渡ったのか。その背景にあるのは……。
先週、紳士服大手AOKIの前会長・青木拡憲氏が贈賄疑惑を認め始めた、とマスコミ各社が報じた。
東京2020組織委員会の元理事・高橋治之氏に便宜を図ってもらうように依頼をして資金提供したことを認め、その理由を「組織委内で重要な立場にいたため」などと供述したというのだ。
「でしょうね」というリアクションの人も多いかもしれない。東京五輪は招致段階から多くの専門家が「裏金が飛び交う“利権の祭典”になる」と予想しており、ここにいたるまでさまざま「疑惑」が浮かんでは消えを繰り返してきたからだ。
例えば、本連載でも『なぜ大手マスコミは「電通の疑惑」を報じないのか 東京五輪の裏金問題』(16年5月24日)で紹介しているが、英・ガーディアン紙が東京五輪の裏金疑惑を報じ、大手広告代理店・電通の関与も指摘された。同社は「スポーツビジネスの第一人者」と言われる高橋元理事の古巣だ。
ちなみに、IOC幹部に日本の裏金が配られていたとされていたとき、JOCの副会長として存在感を示していたのは、田中英壽・日大前理事長。不透明な金銭授与が問題視され、東京地検特捜部に脱税で逮捕された「日大のドン」が絶大な影響力があったということからも、五輪の内幕でどういう類いの「カネ」が飛び交っていたのかは容易に想像できよう。
そんな「五輪汚職」の全貌については、これから少しでも明らかになっていくことを期待したいが、ビジネスパーソンとして気になるのは、そんな利権争奪戦の内情より、こんなシンプルな疑問ではないか。
なぜAOKIは“うまみ”の少ない五輪ライセンス商品のために、企業の社会的信用を失墜させるような「危ない橋」を渡ろうと思ったのか――。
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