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スタバ、中国で2025年までに3000店舗出店 「9時間に1店オープン」実現に疑問の声も:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/5 ページ)
米コーヒーチェーンのスターバックスが9月14日、2025年までに中国での店舗数を約3000増の9000店舗とすることなどを盛り込んだ「2025中国市場戦略ビジョン」を発表。これは9時間に1店舗を開店するペースだ。中国のコーヒー市場は拡大を続けるが、実現は難しいと心配する声が多い。
220億円投じて焙煎工場など建設へ
スタバが発表した中国市場の戦略は次の通り。
- 売上高倍増、営業利益4倍(いずれも22年度比)。9000店舗体制を実現。
- 従業員を3万5000人増員し9万5000人に。
- 店舗以外(自宅、外出先など)の生活のあらゆるシーンでコーヒーを提供する。
- 現在オフィスビル、ホテル2500カ所で展開するコーヒーサービスを5000に増やす
- インスタントコーヒーを550万店のスーパー・コンビニに納入する。
- デリバリーの売り上げを倍増。
- グッズやギフトを販売するECの年間30%成長を維持。
- 11億元(約220億円)を投じて23年に昆山(江蘇省)にスターバックスイノベーション産業パークを建設。
- 14.6億元(約290億円)を投じて中国市場にデジタル技術イノベーションセンターを設立。
ちなみにイノベーション産業パークは、焙煎工場や倉庫、配送センターなどの機能を備えた大規模複合施設だ。スタバは欧米で焙煎工場を運営し、世界にコーヒーを供給しているが、中国国内に工場や物流拠点を置くことでサプライチェーンを国内完結できるようになる。
同パークの建設は20年に発表され、2022年内に稼働予定だったが、コロナ禍の影響で23年の設立へと仕切り直したと見られる。
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