ファイナルファイトが導いた「ストII社会現象」 高コスト開発でメガヒットを実現した社内風土:30年以上愛されるIP作り(1/5 ページ)
『ストリートファイターII』の開発に携わったカプコンのクリエイター岡野正衛(SHOEI)さんによると、当時画期的だったシステムや動きを実現できた背景には、1989年のゲーム『ファイナルファイト』の大ヒットがあるという。なぜ『ストII』は当時、高いクオリティーを実現できたのか。
カプコンの大人気格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズが、今年で35周年を迎えている。1987年に1作目がアーケードゲームとして登場し、4年後の91年から稼働している『ストリートファイターII(ストII)』が世界的な大ヒット。アニメ化やハリウッド実写映画化もされ、2D格闘ゲームの代名詞となった。
『ストII』以降も現在に至るまで作品は続いていて、2023年には『ストリートファイター6』も登場予定だ。
「ストリートファイター『俺より強いやつらの世界展』」が11月18日から大阪で開催される。写真は2〜3月に開催された東京会場(以下写真は©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.)
一方で、『ストII』の人気は根強く、30年以上経った今もなお、多くの企業間コラボが展開されている。例えば、17年3月にはトヨタ自動車のSUV「C-HR」とのコラボが実施され、ゲーム中の車を破壊するボーナスステージに「C-HR」が登場した。
22年6月には、『ストリートファイター』35周年の一環としてサントリーの「天然水スパークリング」とのコラボ商品も販売された。18年には佐賀県と『ストII』に登場するキャラクター「サガット」がコラボし、「ストリートファイター佐賀」というキャンペーン行事が30周年行事として開催。地方自治体とのコラボも展開している。
これまでシリーズで8作品以上が展開されてきた中でも、『ストII』はシリーズの顔であり続けている。
『ストII』は今や30年以上前の作品であり、そのスタッフの多くがカプコンを離れている。そんな中で、『ストII』の開発に携わり、現在も後進の育成などにまい進するクリエイターがいる。岡野正衛(SHOEI)さんだ。岡野さんはカプコンのアートプロダクション室に所属し、今も同社作品のイラスト制作管理などに携わっている。
岡野さんによると、当時画期的だったシステムや動きを『ストII』が実現できた背景には、1989年のゲーム『ファイナルファイト』の大ヒットがあるという。なぜ『ストII』は当時、高いクオリティーを実現できたのか。前編【なぜストリートファイターの代表作は『スト2』なのか? 開発者が明かす当時の社内組織】に続き、後編はその誕生秘話をお届けする。
ファイナルファイトのヒット
――前編【なぜストリートファイターの代表作は『スト2』なのか? 開発者が明かす当時の社内組織】では、大容量のROMが『ストII』に搭載された経緯を聞きました。この大容量のROMが『ファイナルファイト』の大ヒットを受けて作られたものということですが、どんな関係があるのでしょうか。
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