星野リゾートはなぜ「苔」に注目したのか ヒット企画の裏側に“コケ”ない思考法:水曜日に「へえ」な話(1/4 ページ)
苔をじっくり観察するツアーを始めたところ、たくさんの人が参加していることをご存じだろうか。運営しているのは、青森県にある「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」。どんな企画なのかというと……。
えっ、苔って、たくさんの種類があるの?――。
植物に詳しい人であれば「そんなこと当たり前でしょ」と思われたかもしれないが、筆者にとって「苔は苔。一種類」である。ちょっと調べたところ、「キダチヒラゴケ」「アツブサゴケ」といった名称のモノがでてきたが、どんな特徴があるのかも知らないし、どこで生息しているのかもよく知らない。
筆者と同じような感覚をもっている人が多いと思うが(たぶん)、苔をじっくり観察するツアーを始めたところ「オレも、オレも」「ワタシも、ワタシも」といった感じで参加者が増えているホテルがある。青森県にある「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」だ。
奥入瀬渓流に行ったことがない人もいると思うので、簡単に紹介しよう。奥入瀬渓流とは、山手線ほどの広さがある十和田湖から流れ出る川の上流14キロほどを指す。特別保護地区などに指定されていて、カツラやブナなどの樹木、カモシカやテンなどの動物が生息している。渓流沿いには遊歩道が整備されていて、観光客は自然を楽しむためにテクテクと歩いているのだ。
地面や岩の上などを覆っている苔を見るために、多くの人がここを訪れているわけだが、日本で苔は何種類あるのかご存じだろうか。答えは、約1800種類。そのうちの約300種類が奥入瀬渓流に生息しているという。
11月末、筆者は現地を取材したところ、ルーペを片手にミクロの世界を楽しむツアー客たちがいた。機敏に動き回る人はいなくて、少し歩いて触って、少し歩いてルーペを覗いて。通常30分ほどで歩ける1キロコースを2時間30分ほどかけて、じっくり観察するのだ。
それにしてもなぜ奥入瀬渓流ホテルは、馴染みのない「苔さんぽ」なるものを始めたのだろうか。きっかけは、2011年にさかのぼる。
関連記事
- 7割が「不満」 冬ボーナスの支給金額 3位「5万〜10万円」、2位「30万〜50万円」、1位は?
ヒューネルがボーナスに関する調査結果を発表した。最も多くの人が回答した金額帯はいくらだったのか? - 最も好きなカフェ 「コメダ珈琲店」「マクドナルド」を抑えて1位になったのは?
カフェチェーンブランド調査が行われた。最も好きなカフェは3位は「コメダ珈琲店」、2位は「マクドナルド」だった。知名度も店舗数も多い両店を抑えて1位になったのは? - 「サクマ式ドロップス」製造元が廃業に追い込まれた、これだけの理由
「サクマ式ドロップス」を製造する佐久間製菓が2023年1月に廃業する。廃業の理由として、同社は「コロナ」と「原材料高騰」の2つを挙げているが、本当にそうなのか。筆者は違った見方をしていて……。 - 「マルチ商法の優等生」アムウェイは、なぜこのタイミングで“お灸”を据えられたのか
日本アムウェイ合同会社に対して、消費者庁が勧誘などの一部業務を6カ月間停止する命令を出した。「昔から同じようなことをやっているのに、なぜ今なの?」と思われたかもしれないが、どういった背景があるのか。さまざまな憶測が飛び交っていて……。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.