ヨドバシ進出でこれまでの苦労が水の泡!? 豊島区長の反対表明、その切実な背景とは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/7 ページ)
西武池袋本店にヨドバシが出店する計画が進んでおり、豊島区長が反対を表明したことが波紋を呼んでいる。豊島区が取り組んできたことを振り返り、発言の背景を考察すると……。
文化を発信する場
西武百貨店というと、旧セゾングループの中核。1980年代にはコピーライターの糸井重里氏を起用した「不思議、大好き。」「おいしい生活」などのおしゃれな広告で一時代を築いた。当時の池袋本店は、三越日本橋本店を抜いて、日本一の売り上げを誇っていた。
西武は60年代から、日本の百貨店ではいち早くパリに事務所を置き、多くのハイファッションのブランドを勧誘し、店内にインショップをつくった。また、セゾンからはパルコ、無印良品などといったオリジナルブランドが生まれ、系列の劇場やギャラリーでは前衛的な芸術が紹介された。
西武池袋は衰えたとはいえ、文化が創造される場という伝統を感じる店だ。そして、豊島区はアートの力で街を変革する取り組みをしている。ある意味、セゾンの成果を参考にまちづくりを行ってきたといえるのではないか。そのまちづくりの中心が真空になりかねない事態は、高野区長にとって耐え難いものだった。
また、高野区長は、ヨドバシの進出が家電量販店の過当競争を招くと懸念している。池袋駅東口には、ビックカメラが本拠を構えるだけでなく、ヤマダデンキも三越跡地に入居して首都圏の代表店となっている。西口の東武百貨店には、ノジマが入居する。
ここにヨドバシが参入して、4大チェーンの激しい家電戦争が繰り広げられるとすればどうなるか。間違いなく血みどろの事態は避けられない。池袋は完全に家電の街、第2の秋葉原になる可能性がある。
高野区長は、西武池袋の地権者で約50%の土地を所有する、西武鉄道の持株会社、西武ホールディングスに、百貨店存続の嘆願書を提出した。
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