アパレル大不況の中、爆売れした“きれいめパンツ” 背景にある緻密な戦略とは?:ウツクシルエットパンツ(2/4 ページ)
コロナ禍で外出着の需要が減り、アパレル業界は大きな打撃を受けた。そんな中でも、右肩上がりに売れ続けているアイテムがある。アダストリアのブランド「グローバルワーク」が提供する「ウツクシルエットパンツ」だ。通常、オフィスで働く女性からの需要が多い“きれいめパンツ”がなぜ今、売れているのか。ヒットの秘訣を聞いた。
顧客の声を基に、デザインから名前まで刷新
まず行ったのは、口コミの分析だ。ECに寄せられたコメントを集計すると、「シルエットがきれい」との投稿が多い一方で、「少し大きすぎる」「布のもたつきが気になる」といった、相反する意見も見て取れた。
これにより、お客がシルエットを特に気にして商品を選んだり、評価をしたりしていることが判明した。そこで、さらにシルエットを改良してきれいにするにはどうしたらいいかと、パターンの見直しを行った。
次に、商品名の変更をした。当初のTRテーパードパンツという名前は、素材名(TR=ポリエステル・レーヨンの混紡素材)と裾に向かって細くなるパンツの型(=テーパードパンツ)というファッション業界用語から成り立っていた。しかし、商品を引き立てていく戦略を立てた以上、消費者に伝わらない用語のままでは問題がある。
そこで、この商品が最も伝えたい価値としてシルエットにフォーカスし、19年には「シルエット美人」、20年に「ウツクシルエットパンツ」という名称に変更した。
太田さんは「“美人”という言葉がいいのか、“美しい”という言葉がいいのかなど精査をしました。いずれにしても、お客さまに伝わる品名にするために変えました」と振り返る。
さらに、「商品の良さをきちんといろんな場面で伝えていかないといけない。店頭でのアピールなどもありますが、その方法の一つがネーミングだと思います。今、店頭のPOPでも、ECでも、商品と一緒に文字を見る機会が増えているので、ちゃんと伝わるようにした方が良いと考えています」と続ける。
商品名を変更した後は、「商品の特徴を伝える」という目的を全てのプロモーションに一気通貫で徹底した。従来は商品チーム、Webチーム、プレスチームなど役割によってチームが分かれているため、少しずつ発信のトーンがずれていた部分があったことを改善。
店頭での案内やPOP、各種Webサイト、広告、SNSなどの全てで同じトーンで“ウツクシルエット”を第一に訴求するように徹底した。
関連記事
- 池袋から西武がなくなる──変わりゆく街と客層、百貨店が消える本当のワケ
セブン&アイ・グループの百貨店そごう・西武が売却された。これにより、旗艦店の西武池袋がヨドバシカメラを核店舗とした商業施設に替わるのではないかという報道が、賛否両論を巻き起こしている。西武池袋のような駅に隣接した百貨店が消えゆくワケと、これからの百貨店に求められるものとは──? - “スーツ姿の客”がネットカフェに急増 カギは「PCなし席」と「レシートの工夫」
コロナ禍で夜間の利用者が激減し、インターネットカフェ業界は大きな打撃を受けた。そんな中、トップシェアを誇る「快活CLUB」では、昼にテレワーク利用客を取り込むことに成功、売り上げを復調させた。そのカギは「PCなし席」と「レシートの工夫」にあるという。どういうことかというと……。 - 「iPhone 14が売れていない」とささやかれる本当の理由
先日アップルのティム・クックCEOが来日し、日本との結びつきをアピールした。その背後で「iPhone 14が売れていない」というアンケート結果などが話題になっている。こうした話題を正しく読み解くには、アップルを取り巻く市場の変化を知る必要がある。どういうことかというと……。 - 7割が「不満」 冬ボーナスの支給金額 3位「5万〜10万円」、2位「30万〜50万円」、1位は?
ヒューネルがボーナスに関する調査結果を発表した。最も多くの人が回答した金額帯はいくらだったのか? - 最も好きなカフェ 「コメダ珈琲店」「マクドナルド」を抑えて1位になったのは?
カフェチェーンブランド調査が行われた。最も好きなカフェは3位は「コメダ珈琲店」、2位は「マクドナルド」だった。知名度も店舗数も多い両店を抑えて1位になったのは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.