なぜラベル裏にマンガ? サントリーの「麦茶」に隠されたエコな仕掛け:やさしさの循環(1/2 ページ)
コンビニや自動販売機で購入するペットボトル飲料。味は楽しんでも、ラベルデザイン、ましてやその裏までじっくり眺める購入客は、恐らく少数派ではないだろうか。実はボトル飲料のラベルには、あまり広く知られていない、ユニークな仕掛けが多く施されている。
コンビニや自動販売機で購入するペットボトル飲料。味は楽しんでも、ラベルデザイン、ましてやその裏までじっくり眺める購入客は、恐らく少数派ではないだろうか。実はボトル飲料のラベルには、あまり広く知られていない、ユニークな仕掛けが多く施されている。
サントリー食品インターナショナルが手掛ける中核ブランド「GREEN DA・KA・RA」(グリーン ダカラ)。「親子を笑顔に」をブランドビジョンに掲げ、スポーツ飲料など約10アイテムを展開するが、中でもブランドの成長を牽引(けんいん)するのが、2013年発売の「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」だ。
キャラを目立たせない2つの理由
「やさしい麦茶」には、あまり知られていないブランド公式キャラクターが存在する。名前は「やさしいペンギン」、通称「やさペン」。ラベルの表面に、“遠慮がち”に顔を出しているかと思えば、裏面にやさペンのマンガが掲載されている。なぜあまり目立たない位置にキャラクターを掲載しているのか。
「1つは、やさペンに気付いた人がほっこりと嬉しい気持ちになれることを意識しました。もう1つは、エコの観点から、ラベルをはがすきっかけになればと考えました」
こう話すのは、同社ブランド開発事業部の柴尾洋香さんだ。
やさペンが初登場したのは、21年7月。650ミリリットルのラベルレスボトルのEC販売を開始した際、販売用の段ボールに描いた。ラベルレスのため、ブランドが持つ「やさしさの循環」といった世界観が伝わりづらいと考え、愛嬌(あいきょう)のあるキャラクターを段ボールに描くことにしたという。
ラベルレスという「地球にやさしい」商品形態であるため、キャラクターから環境問題をイメージできそうなデザインを意識した。地球温暖化の影響を受ける北極のシロクマや南極のペンギン――など、さまざまなアイデアをデザイナーやイラスト作家とともに練り、最終的にやさペンにたどり着いた。
アイデアを詰めていく過程で、「ブランド全体のキャラクターとして昇華させてもいいのではないか」との意見が挙がり、翌22年4月の商品リニューアル時に、やさペンをボトルとラベル上にも登場させた。
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