「なぜ私じゃなくてあの人が出世……」 つい他人と比べてしまう女性の心理を専門家が解説:働く女の“いらいら”(2/4 ページ)
産業カウンセラーの川村佳子氏が働く女性の悩みを解説する本連載。今回のテーマは「嫉妬心」。“つい他人と比べてしまう”女性の心理を解説する。
「容姿端麗、仕事もできるなんて悔しい」
最初に、めぐみさん(30代会社員)の事例をご紹介します。めぐみさんは同じ部署に中途採用で入社してきたある女性のことで悩み、相談室を訪れました。
学歴、職歴、容姿、何もかも彼女にかなわなくて。彼女を見ていると「どうせ私なんか」と、惨めな気持ちになってしまうんです。周りの人たちも私より彼女に仕事を振ることが多いんです。彼女に期待をしているのが分かるから、余計に腹立たしくて。私の存在価値って、何なのかな……。
中途採用で入社してきた女性と自分を比べてしまい、めぐみさんは自信を失っていました。そして嫉妬心から、人前で彼女を何度もなじり、評価を落とそうとしたのです。そのことが原因で、会社内の人間関係もギクシャクしてしまいました。
めぐみさんのように、職場で同僚や部下に嫉妬心を抱き、円滑なコミュニケーションをとることができなくなったり、メンタル不調に陥ってしまったりするケースは少なくありません。
なぜ嫉妬心が生まれるのか
そもそも、なぜ嫉妬心は生まれるのでしょうか?
心理学では「優越の欲求」といわれているのですが、人間には本来「誰よりも優れた存在でありたい」という欲求が備わっています。その欲求の満足が脅かされたとき、私たちは嫉妬心を抱きます。
人間の自我は1歳半くらいから芽生えると考えられていますが、その頃はいかに母親の関心を引くかという面で嫉妬心を抱くようになります。例えば、幼いきょうだいが母親の関心を引くために、「自分はこんなことができた! すごいでしょ!」と、アピール合戦をすることがありますよね。
発達段階を経て成長していくごとに世界が広がり、成人期、社会人になると、自分と他者を比較することから目を背けられなくなります。受験や恋愛、就職、出世、才能、容貌、健康、財産など、嫉妬心は「自分より優れた人」「評価の高い人」に向けられていきます。「誰よりも優れた存在でありたい」という優越欲求の満足が脅かされるとき、私たちは嫉妬するのです。
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