「法的措置をとりますよ」は禁句? 悪意ある口コミとの“正しい戦い方”:専門家に聞いた(1/3 ページ)
口コミサイトが普及する中、「悪意ある口コミ」に悩む事業者は多い。事業者側はどのような対応が「正解」なのか? 専門家に聞いた。
「夕食のカニ鍋のあまりの少なさにがっかり」「他の客へは愛想よく接しているにも関わらず、私達へは目を背け無視状態」――これは、ある宿に実際に寄せられた口コミの一部だ。旅行先の宿を探している時にこのような口コミを発見したら、進んで泊まりたいとは思わないだろう。
しかしその実態は、カニ鍋は通常提供しているコース料理とは別の「お得なキャンペーン」のメニューだった。口コミを投稿した客は、テーブルに足を乗せるようなマナー違反を働き、スタッフを見下し、あまつさえ差別的発言を繰り返していた。この事実を知った後、受け取る印象はどう変わるだろうか?
旅行予約サイトや検索サイトなどで普及した実際の利用者からの口コミやレビューは、消費者が良いサービスを選ぶヒントになる。その一方で悪意のある口コミや、一方的な視点でこきおろす口コミは、宿泊施設に限らず接客業態の事業者を広く悩ませている。
改善点を建設的に指摘した口コミは事業運営を見直すヒントになるが、事実無根であったり、曲解した口コミは店の評判を不当に下げることにつながる。口コミをチェックするスタッフの精神的負担、ひいてはモチベーション低下につながることも想像に難くない。
またネットやSNSが発達した昨今、炎上のリスクも軽視できない。事業者やスタッフの「不手際」がひとたび拡散すれば、それを見たネットユーザーが(利用したこともないのに)一斉にGoogleマップ上の情報や口コミを荒らしていく。そんな光景はこれまでに幾度となく繰り返されている。不当な口コミに対して、事業者側がつい感情的に対応してしまえば、それは火に油を注ぐ行為となる。
では、事業者は一体どうすればよいのか? 口コミサイト・SNSの一括管理ツールを展開するmov(東京都渋谷区)の、年間300万件超の口コミをチェックするという、新井勇作氏に対処法を聞いた。
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