もんで飲む「氷」 カリカリ梅の赤城フーズ、内と外から冷やす熱中症対策:猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い
カリカリ梅で知られる赤城フーズ(前橋市)の「飲む氷 Umeアイススラリー」が好調だ。6月に発売したところ、工場や建設現場などから1000単位の受注が相次いでいる。
猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い:
電気代高騰や猛暑を背景に企業が「ひんやりグッズ」に商機を見いだしている。ヒットしている商品はどのようにして開発されたのか? 売り場のトレンドはどうなっているのか? 消費者のトレンドや開発の舞台裏に迫る
カリカリ梅で知られる赤城フーズ(前橋市)の「飲む氷 Umeアイススラリー」が好調だ。6月に発売したところ、工場や建設現場などから1000単位の受注が相次いでいる。
同社は熱中症対策の商品にも力を入れており、中でも2009年に発売した「熱中カリカリ梅」は厳しくなる猛暑とともに売り上げを伸ばし、夏の定番商品となっているという。熱中症対策の食べ物として梅の人気が高まるなか、同社社長の遠山昌子社長は「カリカリ梅以外の新しい切り口の商品はないか」と考え始め、飲む氷 Umeアイススラリーを思い付いた。
冷たい商品にはアイスやジュースなどさまざまな種類があるが、「アイススラリー」という水分と微小な氷がシャーベット状に混ざった氷飲料を採用した。通常の氷よりも結晶が小さいため流動性が高く、溶けかかったシャーベットのような冷たくトロっとした触感だ。少量でも体の芯から効率よく冷やすことが可能だという。
国産の梅果汁を使用しつつも、カリカリ梅のように「酸っぱい!」という感じはなく、梅ジュースのような甘酸っぱい風味に仕上げた。「梅の酸味が苦手なお子さまでも飲んでいただける味です」(遠山社長)。また、暑い時期に失われがちな塩分・クエン酸・カリウムをバランスよく配合しているそうだ。
飲み方も一工夫した。冷凍庫で4時間以上凍らせた後、飲みごろの柔らかさになるまで手でもむのだ。「飲んで体を冷やす『内部冷却』に加えて、もむことによって手のひらを冷やす『外部冷却』の役割があります。体の外側と内側の両方から効果的に冷やすことが期待できます」(遠山社長)
また、飲むタイミングは運動や作業の前を推奨。こうすることで、事前に体の内部の温度(深部体温)を下げる「プレクーリング」の効果があり、暑い環境下にいても深部体温が上がりにくいのだという。
発売は5月を予定していたが、アルミ包材の仕入れが難航したため6月にずれ込んだ。「夏の商品を売り始めるには遅かったので、今年の売り上げはあまり期待していなかったのですが、予想以上の反響をいただいております」(遠山社長)
実際に飲んだ人からは「梅ジュースのようでおいしい」「飲みきりサイズなのがちょうどいい」といった声が多く寄せられているそうだ。意外だったのは、凍らせたペットボトル飲料と比較した声だった。「凍らせたペットボトル飲料は、溶け方によって味に濃淡があったり、中心がなかなか溶けなかったりします。しかしこの商品は『味が最後まで均一』『もむことで全体的に溶けて一気に飲みやすい』といった声をいただいています」(遠山社長)
今後は、夏季限定の商品として毎年販売するという。「熱中カリカリ梅」に次ぐ、熱中症対策の新しい選択肢として定着なるか。
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