※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
しかし、実際の伝えるコミュニケーションは、こんなふうに行われてはいません。
登場人物がふたりというのは同じです。
ひとりが「伝え手」で、もうひとりが「受け手」というのも変わらない。
ただ、働きかけのプロセスが少し違っています。
「伝え手」が「受け手」に“直接”働きかけることはまずありません。
「伝え手」はかならず「伝える事柄」をいったん表現します。
そして「受け手」が、そこにかかわり(見たり、聞いたり、読んだりする)、そのうえで納得したり、共感したりしたときに「伝わった」となる(図参照。「受け手」が複数の場合は、このコミュニケーションが個別に複数箇所で起こる)。
これが伝えるコミュニケーションの本当の姿です。
図を参照しながら表現物の話をしたうえであれば、そこまで違和感はないかもしれませんが、講演などでぼくがいきなりこの構図の話をすると、「いったん表現する」という部分に戸惑う人もいます。
いや、自分はそんなたいそうなことはしていない、と。
でも、冷静に考えると分かるように、人から人へ、なにかを“直接”伝達することはできません。そんなことができるのは、テレパシーが存在するSFの世界だけです。
現実の人と人とのコミュニケーションは、必ずなにかを媒介して行われます。
文字によるコミュニケーションなら、紙やデジタルデバイス上などに表示された言葉や文章。話すコミュニケーションなら、声として発した言葉や話がその役割をにないます。
映像にしても、デザインにしてもそうでしょう。あるいは事業などにもあてはまることかもしれません。
関連記事
- 部下の文章にイラっとした瞬間 2位は「語彙・表現が不適切」、1位は?
84.5%の上司が部下の文章にストレスを感じたことがあると回答している。誤字脱字などの文章の誤りよりも、読み手への配慮不足にストレスを感じる傾向が高い。部下も同様に上司からのアドバイスにストレスを感じている。 - 上からの指示を部下に伝えるとき、“自分の言葉”で言い換えないとダメですか?
上意下達ではなく、上から提示された組織目標や方針を「自分の言葉」で伝えるのが重要……と研修で聞きました。「自分の言葉」とは、どういう風に考えていけばよいのでしょうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.