ワークマン、さらにおしゃれに 新業態「カラーズ」で徹底研究した有名ブランドとは:長浜惇之介のトレンドアンテナ(2/3 ページ)
ワークマンが新業態「ワークマンカラーズ」の1号店をオープンした。これまで訴求しきれていなかったファッション性を改善したとともに、2つの売り場を基にさらなる成長を狙う。
店に来てもらえるのに、買ってもらえなかった
順調に成長しているワークマンであるが、課題もある。同社の新業態事業部・鈴木俊輔部長代理は次のように話す。
「確かに#ワークマン女子で女性客を増やせたが、機能性で選ばれるアウトドアウエアの域を出ていない。男女ともに、若い10〜20代の売り上げが、まだ伸び切っていない」
ファッション性を強調してきたワークマンプラスとワークマン女子でも、拾いきれていない大きなニーズがあるとの課題を持っているようだ。鈴木氏によれば、作業着目当てではない人がワークマンの店舗へ足を運ぶきっかけは「雨が降ったからレインウエアが欲しい」「寒くなってきたから防寒服が欲しい」といった、あくまで機能性を求めてのもの。ワークマンも、春・夏物と秋・冬物に分けて、年に2回ほどしか商品を発表していないケースが多かった。
同社がデータを分析すると、ワークマンプラスやワークマン女子で商品を買った人は、月に一度ほどのペースで店を繰り返し訪れる傾向が高いことが分かってきたという。新しい商品を求めて来店したにもかかわらず、半年間も同じ商品が置いてあるので、2カ月目以降の購買意欲をかき立てられず、売り逃しが多く発生していた。
そこで打った手がワークマンカラーズだ。季節性やトレンドの変化を細かく拾い、デザインだけで売れる商品を集積。ワークマンの強みである機能性の高さも維持しつつ、売場の鮮度を重視した店舗とした。
そもそも、ワークマン女子でファッション性の高い商品を展開しても、顧客が女性に偏ってしまう。そのため、男性も巻き込んだ新たなブランドとして立ち上げる必要があったのが、ワークマンカラーズのきっかけでもある。
ワークマンカラーズで提案するスタイリングは大きく4つに分類できる。トレンドを意識した「life is」と、ワークマンらしい原色を生かした黒色との組み合わせである「WORKMAN-ship」。さらに、“タフかわ”として都会的なポジティブなタフさとレディースアイテムを取り入れた「tough」。1着の服を夫婦でシェア、あるいは仕事着と遊び着の用途をシェア、さらにはSNS投稿でシェアすることを念頭に置いた「Shere,Shere,Shere」の4テーマだ。
人気の中国ブランド「SHEIN」を徹底分析
ワークマンの商品は、主に中国の上海にある提携工場で生産している。ワークマンカラーズを新たに展開するに当たって徹底的に現地調査したのが中国の「SHEIN」だ。同社は低価格のファストファッションとして、トレンドをいち早く取り入れて商品化することに長けている。
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