パチンコホール、冬の時代続く 人気機種登場も、導入費が負担に
東京商工リサーチが、パチンコホールに関する調査結果を発表した。23年1〜9月の倒産件数は、過去2番目のペースで、厳しい状況が続く。
パチンコホールの倒産が続発し、業界の先行きを危惧する声が高まっている。東京商工リサーチによると、2023年1〜9月のパチンコホールの倒産は25件だった。同期間としては、過去10年で最多の22年(29件)に次ぐ2番目の高水準となった。また、警察庁によると、全国遊技場(パチンコ営業)の店舗数は22年の1年間で9.3%減少(8458店→7665店)。減少率は01年以降で最大だという。
23年1〜9月の倒産を原因別にみると、最多は「販売不振」で23件。特にコロナ関連倒産が14件で半数を超えた。地区別の件数では、7件の関東を筆頭に、近畿(5件)、九州(4件)、北海道(3件)、東北・中部(同2件)と続く。
22年に倒産・閉店が相次いだ背景には、年初の「5号機」完全撤去と「6号機」導入による資金負担、また機種の変更による射幸性の低下で集客が落ち込んだことが大きい。コロナ禍での業績悪化やコロナ支援策の縮小なども影響しているとみられる。
22年11月にはメダルが電子化された次世代スロット「スマスロ」、23年4月には「スマートパチンコ(スマパチ)」が導入され、継続してシステム関連の工事、遊技台などへ多額の投資が必要なことも重くのしかかっている。
「スマスロ」は導入価格の高騰が課題に
スマスロでは、7月末で累計導入台数が約6万台に達した「スマスロ北斗の拳」のような人気を博するものも出てきたが、導入価格の高騰が課題だ。1台当たりの価格は60万円に迫っており、工事代を含めると1台100万円を超えるケースもあるという。一部メーカーでは月10万円のレンタルプランを発表するところも出てきた。
また、コロナ禍による半導体不足が起き、資金力のあるパチンコホールが先にスマスロの遊技台を押さえたことで、資金力の乏しいパチンコホールはブームに乗り遅れている。今後、スマパチの人気機種が登場すると、さらに2極化が加速する可能性もあるという。
東京商工リサーチは「電気料金や人件費などの高騰に加え、スマート関連工事、新紙幣への改刷対応など、今後も重い負担がのしかかる」とコメント。資金不足によって新たな遊技台の導入が進まないことで、客足が遠のき、さらに業績が落ち込む負のスパイラルに陥るパチンコホールも少なくないとしている。
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