なぜガソリンの価格は分かりにくいのか 値引きの仕組みが複雑な理由:高根英幸 「クルマのミライ」(5/5 ページ)
ガソリンスタンドの価格が分かりにくい。店の看板がいくつもあったり、値引きも複雑であったり。なぜこのような仕組みになっているのかというと………。
ガソリン以外のサービス充実でますます複雑化へ
なぜ、このように割引制度が複雑になっているかといえば、それは元売りやGSがユーザーを囲い込みたいから、という理由に尽きる。スマホの普及によって利便性が高まることで、顧客情報も得やすくなり、割引しても得られる情報やユーザーを獲得できれば元は取れるのだ。
今後、GSはカーシェアやEVステーションの拠点としても機能するようになるだろう。また、街の修理工場が後継者不足などで減少していくことによって、車検整備やボディのコーティングといったメンテナンス面の需要も高まっていくはずだ。
GSの敷地内にコンビニやカフェなどを設置するだけでなく、大規模ショッピングモールの駐車場の一角にGSを併設するなど、商業施設との関係もシームレスになりつつある。それによりガソリン価格だけでなく、サービス利用による特典などは複雑化していくことが予想される。
「サービスステーション」(元売りは以前からSS、サービスステーションという呼び名を使用している)という言葉通り、GSはこれからもモビリティのサポートに欠かせない存在でなければいけない。そういった意味で考えると、今後ドライバーの高齢化が進むので、より分かりやすい割引サービスやアプリ開発が必要だ。
筆者プロフィール:高根英幸
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。近著に「ロードバイクの素材と構造の進化(グランプリ出版刊)、「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。
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