「月末が憂鬱だった」 定型業務を“8割削減”、メドレー経理の変革とは(1/2 ページ)
月末が近づくと憂鬱になる──期限内に終わらせなければというプレッシャーを抱えていたメドレー財務経理部門では、社外のツールや自分たちでシステム開発をするというDXによって8割の業務削減に成功した。その手法を探る。
月末が近づくと「『本当に終わるのか』と憂鬱(ゆううつ)になっていました」──オンライン診療アプリなどを手掛けるメドレー(東京都港区)の財務経理部門の社員はこう語る。約5年前までは、月末月初の3日間、4人でフル稼働し、50時間をかけて売掛金の入金対応を行っていた。
それが今では約10時間で済んでいる。削減率はなんと8割。空いた時間で、さらなる効率化を目指しているという。
一体どのようにして、業務削減を成し遂げたのだろうか。同社執行役員 Accounting&Tax室長の沖山大樹氏とグループマネジャーの八木俊憲氏に話を聞いた。
「憂鬱だった」月末の入金対応 どう削減した?
メドレーは、2009年創業のメガベンチャー。医療ヘルスケア領域の事業者に各種サービスを提供している。手掛けるサービスは人材採用システム「ジョブメドレー」から始まり、オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」など。介護や障害福祉事業社向けオンライン動画研修「ジョブメドレーアカデミー」のようなサービスも展開している。
17年当時、主軸事業であるジョブメドレー利用事業者のうち、1000件以上から振り込みがあった。振り込みがあれば、どの利用事業者からのものかを突き合わせ、その事業者のメドレーに対する売掛金を消していく「入金消込」作業を行う。
これが時間のかかる作業だった。というのも、取引先の名前と預金口座に記載される振込名義が異なるケースがあるため、名義だけでなく、金額との突き合わせなど、細かい作業が必要になるからだ。
そこで、まずメドレーの財務経理部門が採用したのが「バーチャル口座」だ。同じ口座番号に入金してもらうのではなく、事業者ごとに用意した口座番号へ入金してもらうことで、突き合わせの手間が省けるようになった。これだけで約4割の時間削減につながったという。
しかし、事業は加速度を上げて成長していく。現在では約31万件、医療ヘルスケア領域事業者の4件に1件が利用するまでに成長した。
加えて22年の収益認識に関する新たな会計基準の適用で、それまで一時金として入金されてサービス開始時点で売上計上していたSaaS事業の初期費用について、サービス提供期間にわたって売上計上する必要が生まれた。一難去ってまた一難というわけだ。
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