“オフィスの芝生”で仕事? パナソニックが「出社したい」を追求した新拠点:オフィス探訪(2/2 ページ)
パナソニックは、家電事業に関わる部門・関連会社が集結した「パナソニック目黒ビル」(東京都目黒区)を10月にオープンした。テレワークで顕在化したコミュニケーション不足の解決とパナソニックらしさを意識した職場環境を目指したという。若手社員が中心となって取り組んだというパナの新オフィスを取材した。
4〜7階は執務スペースがあるが、移動する際にさまざまな従業員と顔を合わせられるように、吹き抜けの階段で行き来できるようにしている。また、各フロアの廊下にはフリーラウンジスペースを用意。階ごとに設置してある家具を変え、リラックスできる空間に仕立てた。
パナソニック“らしさ”の追求
先述したコミュニケーションの場であるTsudou-ba、Tsumugu-ba、ビストロMEGROと、4〜5階のフリーラウンジエリアには、それぞれアート作品を展示している。これらのアートは全てパナソニックの事業理念や事業目的を体現した。
「パナソニックらしさ」を体現したスペースは1階ロビー空間にもある。従業員はもちろん、来訪客が、製品やサービスに触れられる場所として、販売する家電製品群をカテゴリー別に展示した。ほかにも、IoT機器を集めたスペースも別に用意。ここでは、実際にパナソニックの製品を操作・体験することができる。
製品展示は、2階でも行っている。こちらはパナソニックの歴史に触れられる構成となっており、今まで発売してきた製品を設置した。同じ階には、パナソニックの家電製品が多く取りそろえられたプレスルームもある。
同社のコンシューマーマーケティングジャパン本部の梶恵理華氏は、今後について「オフィス運用をしていきながら、従業員からの反響をもとに改善していきたいと考えています」と語った。
コロナが収束してきたことで、原則出社に戻している企業も多くある中、同社はハイブリッドワークを継続していく考えだ。「従業員が出社したくなる職場」を目指した今回の新オフィス。果たして、コミュニケーションが活性化することで、革新的な家電製品・サービスが生まれるきっかけとなりえるのか――。オフィス運用をしていく中で、どこまで従業員のウェルビーイング向上に貢献できるのかも楽しみだ。
著者プロフィール
太田祐一(おおた ゆういち/ライター、記者)
1988年生まれ。日本大学芸術学部放送学科で脚本を学んだ後、住宅業界の新聞社に入社。全国の工務店や木材・林業分野を担当し取材・記事執筆を行った。
その後、金属業界の新聞社に転職し、銅スクラップや廃プラリサイクルなどを担当。
2020年5月にフリーランスのライター・記者として独立。現在は、さまざまな媒体で取材・記事執筆を行っている。Twitter:@oota0329
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