「9時〜17時勤務を嫌がる米国人女性」に喝! サラリーマンが患う“症候群”とは:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
会社で「9時から17時まで働く」ことはおかしいのか。「むしろ短い」「もっと働け」といった声も聞こえてきそうだが、米国の若い女性がこのことを訴えて話題になっている。SNSなどの反応を見ていると、日本を蝕む“病”がはびこっていて……。
諸問題の「病巣」
この福沢諭吉の指摘から150年。われわれ日本人の「怨望カルチャー」はどう変わったのか。遠い異国の若い女性にまで、自分たちの働き方を押し付けているようでは、まだまだ健在というところか。
実際、大阪大学 社会経済研究所を中心とした研究グループによると、被験者に集団で公共財をつくるゲームをしてもらったところ、日本人は米国人や中国人と比較して他人の足を引っ張る行動が多いという結果が出たそうだ。
ビジネスパーソンならば、これには納得する部分もあるのではないか。古い体質に切り込んだり、画期的な取り組みを始めたりすると、どこからともなく邪魔者がやって来て引きずり下ろそうとする。そういう嫉妬深い人たちに対して、そんな内ゲバみたいなことをしていたら、みんなが共倒れだぞと訴えても聞く耳を持たない。
「誰かが頭ひとつ飛び出て幸せになるくらいならば、みんなが等しく沈んで不幸になったほうがマシ」というような、かなりひねくれた「平等原理主義」があるのだ。
このあたりのカルチャーに、日本社会の「パワハラ」「長時間労働」「低賃金」といった諸問題の「病巣」があるような気がするのは、筆者だけだろうか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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