カギは「男性客」? しのぎを削る、やよい軒と大戸屋 その似て非なる戦略(2/3 ページ)
近しい立ち位置の定食チェーンとして、国内に300店舗超を展開する「大戸屋」と「やよい軒」。両者の違いを細かく見ると、どんなことが分かってくるのか。
「手作り感」の大戸屋、「ご飯おかわり自由」のやよい軒
料理の違いを比較してみよう。両チェーンとも定食メニューをメインとしており、おかずにご飯と汁物、小鉢類という構成は同じである。一方、やよい軒がセントラルキッチン方式を導入しているのに対し、大戸屋は店内調理を基本としている。
コロワイド傘下になってから大戸屋は1次加工でセントラルキッチン方式を導入し始めたが、基本は店内調理を維持。そのため、料理の手作り感では大戸屋が一歩リードしている。こうした背景もあり、定食メニューの主な価格帯はやよい軒の750〜1100円に対し、大戸屋は900〜1200円と、後者の方が150円前後高めである。
価格が高めの分、手作り感のある料理を楽しめる大戸屋だが、多く食べたい人や男性客はやよい軒を好むかもしれない。何といってもやよい軒の特徴はご飯のおかわりが自由である点にある。量を求めてやよい軒を選ぶ人も多いことだろう。だしや漬物のサービスもあるため、だし茶漬けによる“味変”も可能だ。対する大戸屋にはご飯のおかわりサービスが基本的になく、追加料金を支払う必要がある。
全国的な知名度はやよい軒に軍配か
店舗の特徴はどうだろうか。都市型店舗(ビルインタイプ)の場合、大戸屋が40〜50坪を目標としているのに対し、やよい軒は25〜60坪と狭い場所も狙っている。ロードサイド店では前者が敷地面積300坪以上、店舗面積45〜60坪に対し、後者は敷地面積200〜400坪、店舗面積30〜60坪とあまり違いはない。ただし大戸屋は都市型・ロードサイド型以外に商業施設内も狙っており、近年ではフードコートへの出店も強化しているようだ。
店内のデザインは両チェーンとも大きな違いはない。カウンター席とテーブル席に分かれ、定食屋らしい木目調をベースとしている。ただし、席は大戸屋の方が広い印象がある。
出店地域では大きな違いがみられた。国内で約300店舗を展開する大戸屋だが、そのうち約190店舗が関東にある。次いで東海地域に27店舗を展開しており、関西などその他の地域は数店舗から十数店舗しかない(12月8日時点)。全国に約360店舗を展開するやよい軒は、現状東京が56店舗、大阪49店舗、福岡34店舗と全国的に展開しており、隣接する県にも十数店舗を出店する(同)。
この点から、全国的な知名度でいえばやよい軒の方が高いのではないだろうか。池袋をルーツとする大戸屋と、九州地盤のやよい軒の違いが現れた形といえるかもしれない。ちなみにFC比率を比較すると、大戸屋が50%弱に対し、やよい軒は約25%だ。
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