スシローが「デジタル回転レーン」で狙う顧客体験とは? 家族と一緒に行って分かったDXの最前線(5/5 ページ)
スシローでは、大型ディスプレイとレーンを融合させた「デジロー(Digital SushiroVision)」を一部店舗に導入している。どんな顧客体験を狙っているのだろうか。家族で実際に利用してみた。
今後の戦略にどう影響するのか
スシローを展開するFOOD&LIFE COMPANIESの水留浩一社長は、11月に開催された決算説明会の場で「回転レーンについては、社内でもいろんな考え方があるが、私はどちらかというと回転にこだわっている。回転レーンにお寿司が回っている世界を何らかの形で残せないかと強く思っている。その一つの形がバーチャルにお寿司を(デジタルサイネージに)流すデジローであり、一つの方向性だ」と述べている(出所:流通ニュース「F&LC/水留社長『回転レーンにお寿司が回っている世界を残したい』」)
筆者もスシローを何度か取材しているが、従来の回転寿司路線に戻るのかどうか、議論が続いている様子が伝わってきた。
水留社長は「効率だけを求めたら、回転させない方がいいという現実もある」とも述べている。業界に先駆けて“脱回転”路線を主導した元気寿司の法師人(ほうしと)尚史前社長は、注文した商品だけを提供することで、さまざまな運営上のメリットがあることを述べていた。回転しない寿司は、食品ロス削減につながるという指摘もある。
現在デジローを導入しているのはスシロー西新宿店、スシロー江坂店(大阪府吹田市)、スシロー天白焼山店(名古屋市)の3店舗のみだ。水留社長によると、この3店舗ではデジローが利用客に支持されているだけでなく、“数字”の面でも良い影響が出ているという(客単価などが上昇しているとみられる)。
デジローの実験は、今後の戦略にどういった影響を与えるのだろうか。
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