副業でも「人が集まらない」とき、見直すべき求人のポイント(1/2 ページ)
労働力不足を解消するために、企業が副業人材を受け入れるケースは増えていくと考えられる。一方で、副業求人への応募をためらう副業意向者の意識も見られる。企業は今後、どのような点に注意して副業求人を募集すればよいだろうか。
この記事は、パーソル総合研究所が2023年11月13日に掲載した「副業人材の獲得に重要な副業求人の記載事項 〜ネガティブ情報の『積極的開示』と、組織風土の『見える化』を〜」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などはすべて掲載当時のものです。
労働力不足が深刻化する昨今において、人材の採用は企業にとって重要な課題のひとつだ。そのため、副業解禁の動きが加速することに伴い、企業が副業人材を受け入れるケースは今後増えていくことが予想される。一方で、副業求人への応募をためらう副業意向者の意識も見られている(※1)。
この現状を踏まえ、企業は今後どのような点に注意して副業求人を募集すればよいだろうか。本コラムでは、パーソル総合研究所が実施した「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」 のデータを基に、上記の問いについて考えていきたい。
(※1)参考「副業における最新動向とその課題 〜副業の活性化には『歯車連動型』副業への転換がカギ〜」
はじめに副業求人の応募実態について見ていこう(図1)。副業者を受け入れている企業の人事担当者に対して、副業求人に十分な数の応募が来ているかを質問したところ、肯定回答・中庸回答・否定回答(※2)がいずれも約3割という結果であった。採用は応募者の「量」ではなく、いかに自社に合った人材を採用できるかという「質」の側面が重要であるが、応募数が少なければ、優秀な人材が現れる確率も低くなるだろう。この結果だけでも、副業者の採用に頭を悩ませる企業の多さがうかがえてくるのではないだろうか。
(※2)肯定回答は「あてはまる」「ややあてはまる」の合計スコア、中庸回答は「どちらともいえない」、否定回答は「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の合計スコアを指す。
では、副業者の採用について、企業はどのような媒体を用いているのだろうか。図2の棒グラフを見ると、副業者の採用における活用媒体として最も多いのは「従業員からの紹介」であり、48.1%と抜きん出ている。活用媒体と「副業求人の応募の多さ」の関係性もあわせて参照されたい(図2下部)。
「副業サイトや求人検索サイトの利用」が「副業求人の応募の多さ」に最も強い影響を与えており、「従業員からの紹介」が続く。まだまだ人づての紹介による副業者の募集が多い実態ではあるが、近年成長を遂げる副業マッチングのプラットフォームなどの活用も積極的に検討してみてはどうだろうか。
副業推進を阻害する「応募控え」意識
ここからは、本コラムに関連する個人側の副業求人に対する応募意識について見ていこう。本調査では、副業求人への応募を控える意識(副業求人への「応募控え」意識)に着目し、3つの測定項目を副業意向(求職者)者と副業実施者に聴取している。それらの結果を見ると、いずれの項目も副業実施者より副業意向者の方が、「応募控え」に関する意識を強く持っていることが分かる(図3)。希望者が副業を選択できる社会の実現に向けては、この「応募控え」意識をいかに低減させていくかが重要であるといえよう。
副業求人への「応募控え」意識をさらに深く理解するために、その背景にある副業求人自体への意識も見てみよう。「応募控え」意識と相関が強い要素として、副業求人における「柔軟性のなさ」「情報の不明瞭さ」「役割・権限の重さ」「経験・スキルの高さ」が挙がる。副業求人の応募をためらう根底には、副業求人に感じる「アンマッチさ」の意識と「ハイスペックさ」の意識が潜んでいるものと考えられる。
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