ファンを取り残さない工夫
司会: 次は考え方を深堀りしていきます。
新しいことに取り組むと「既存のお客さまが離れてしまうんじゃないか」と考えたり、お客さまも「お店が変わってしまうんじゃないか」と不安になったりすると思います。
新しいことにチャレンジするための土台をしっかりと作るべく考えていること、やっていることを教えていただけますか?
白石: 昔から好きでいてくださるお客さまには、より深いアプローチやコミュニケーションを行っていますね。これまでは一方通行なコミュニケーションでしたけど、今の時代それではつなぎとめられませんので。
オフラインやオンライン、お客さま同士でコミュニケーションを作ってもらうなど試行錯誤しながら、既存も新規も「味の素のファン」になってもらえるよう取り組んでいます。
そのため23年春、マーケティングデザインセンターというお客さま向けのことを一手に考える組織を作り、取り組みを進めているところです。
濱屋: 職人さんやアウトドアで使用される人はアイテムの消耗が速いので、同じパンツを次のシーズンも買うというケースが多いんです。その時にワークマンは、お客さまの声を大切にしています。
「パンツはいいんだけど少しファスナーが固い」「ロゴがダサくて恥ずかしい」などの声があると、次のシーズンに必ず修正します。同じ商品でもお客さまの声をもとに毎年どこかマイナーチェンジを行い、進化させ、ロングセラー商品につなげる――よく履いている人は変化に気付いてくれるので、私たちもそういう反応をオンラインストアのレビューから確認しています。
ファンの声をしっかり拾って、商品に生かしていくのは大切だと感じますね。
司会: ストアのレビューという話がありました。店舗で買われる人も多いと思いますが、お客さまの声の収集の仕方というのは、ストアのレビュー以外ではどういうことをされているのでしょうか?
濱屋: 来店したお客さまと店員との話の中で出ることも多いです。頂いた意見はリスト化し、全社員が見られるようになっています。
また、ワークマンではインスタやX、TikTokなどのSNSも積極的に取り入れていて、各コメント欄での反応、声からも拾っていますね。
司会: ストアのレビュー、店頭での意見、SNSの反応の3つに注力されているんですね。
濱屋: あとはアンバサダー制度ですね。フォロワーは2万〜3万人くらいの、ワークマンが好きなインフルエンサーにアンバサダーになってもらっています。現在50人くらい、ワークマンへの熱意があるアンバサダーが存在します。
SNSのフォロワーは、商品に対する意見を気軽に私に言ってくれるんですよ。アンバサダーは、消費者の代表としてその意見を提出。そこから商品開発のヒントを得ています。
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