調査リポート
2023年の人手不足倒産、ここ10年で最多の260件 経済活動の復活で人手不足が再び深刻なリスクに
人手不足倒産が増えている。2023年は、帝国データバンクが調査をさかのぼれる2013年以降で最多となる260件を記録した。
人手不足による倒産が増えている。帝国データバンクが調査結果を発表し、2023年の人手不足倒産は累計で260件、前年比で約1.9倍となっていることがわかった。
これまで、人手不足倒産が最も多かったのは19年の192件。23年の件数は統計としてさかのぼれる13年以降で最多を更新した。20年以降は新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動制限で一時的に人手不足感が緩和していたが、経済活動が本格化したことで人手不足がリスクとして顕在化し、倒産の増加につながった。中でも4月は月次として過去最多の30件、8月以降は5カ月連続で20件以上を記録した。
23年に起きた人手不足倒産のうち、半数を占めたのが建設/物流業だ。同業界は4月に時間外労働の上限規制が適用される、いわゆる「2024年問題」が懸念されている。団塊の世代が後期高齢者に到達する「2025年問題」も控え、労働力人口の高齢化も差し迫る。
24年の景気見通しに関して、40.5%の企業が人手不足を懸念材料と回答したことも明らかになった。全項目のなかで2番目に高い数値で、前年からの上昇幅は14.4ポイントで最も高かった。正社員の人手不足を感じている企業は23年12月時点で53.1%にのぼり、20年4月からのコロナ禍以降で最も高い。
帝国データバンクは「こうした背景を踏まえ、今後も人手不足の解消が大きく進まない場合には、事業を畳まざるを得ないケースが高水準で発生することが見込まれる」とコメントした。
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