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TSMCの設備投資は7兆円規模、時給水準1.5倍に 課題は?(2/2 ページ)

半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の第1工場開所式が24日、熊本県菊陽町で開かれ、地元では波及効果を含め7兆円規模とも指摘される設備投資に期待が高まる。ただ、深刻な人手不足など解消すべき課題も多い。

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産経新聞
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地銀のライバルがタッグ

 今後は工場のメンテナンスなど幅広い関連産業の需要増で、中小企業への波及効果も期待される。同局幹部は「公表されていない計画も多く、実際の設備投資額は6兆〜7兆円ぐらいに膨らむだろう」と鼻息が荒い。

 活発な資金需要を見込み金融業界も動く。福岡銀行や肥後銀行(熊本)など九州・沖縄の地方銀行11行は1月、半導体産業の振興に向けた連携協定を締結。ライバル関係にある九州の地方銀行が異例のタッグを組み、旺盛な資金需要に応じる体制を整えた。福岡銀行の五島久頭取は記者会見で「九州全体の経済成長に貢献したい」と狙いを説明する。台湾企業の進出に合わせて台湾の金融機関の九州進出も目立つ。

時給水準1.5倍に

 ただ、課題は人手不足だ。現在、TSMC第1工場だけで約1300人が勤務しており、第2工場も稼働すれば計3400人が働く。九州各地の半導体関連人材は今後10年間にわたり年間1000人ほど不足するとの予測もある。半導体産業の基盤強化を目指す地元産学官団体が関連人材の育成・確保を検討するが、「今も理系人材は奪い合い。この傾向はしばらく続く」(関係者)見通しだ。

 熊本県内の人手不足は飲食店や清掃、コールセンターなど業種を問わず広がり、人材確保に必要な時給水準は1.5倍程度に上昇した。人材派遣企業も相次いで進出したが「派遣する人材の確保すら難しい」(担当者)状況だ。慢性的なホテル不足や交通渋滞、不動産価格の高騰もいまや“熊本名物”。工場が立地する熊本県菊陽町を中心に人口が流入し、町の姿は大きく変わりつつある。

(千田恒弥、黄金崎元)

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