「6時間待ち」を500円でスキップ 飲食店でも「ファストパス」が広がる納得の理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
人気テーマパークが行列に並ばずアトラクションを利用できる優先券を提供しているのは周知のところ。最近では、こうしたサービスが飲食店にも広がってきた。
追加で料金を払えば、長蛇の行列に並ばず入場できる特別なパスがユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や東京ディズニーランド、東京ディズニーシーのようなテーマパークだけでなく、飲食店にまで広がってきている。飲食店向けのサービスは、レストランの予約・検索サービスや顧客管理システムを展開するテーブルチェック(東京都中央区)が、2月9日に提供を開始した。
パスの名称はそれぞれ「ユニバーサル・エクスプレス・パス」(USJ)、「ディズニー・プレミアアクセス」(東京ディズニーランド・シー)、「TableCheck FastPass(以下、テーブルチェック・ファストパス)」(テーブルチェック)だ。いずれも行列をスキップできるタイムパフォーマンス(タイパ)の良さを重視するサービスという点で、共通している。
USJの広報担当者は、導入の理由を「東京のような遠方から来る人は、そう何度も大阪まで来られない。インバウンドの観光客も、アトラクションに並ぶ時間が短くなれば、効率的に時間が使える」としており、限られた時間を有効に使いたい人向けのサービスであることは明白だ。東京ディズニーランド・シーを運営するオリエンタルランドの広報によると「海外からの来園者によく使われているサービス」という。
「最大6時間待ち」の行列を500円でスキップ
テーブルチェックのサービスを導入したラーメン店「銀座 八五」は水道橋の人気店「中華そば 勝本」がプロデュースした店で、コンソメスープを彷彿(ほうふつ)とさせる、金色のスープが特徴のシンプルな中華そばを提供する。1杯1200円〜と強気な価格設定ながら、旧京都全日空ホテル(現ANAクラウンプラザホテル京都)総料理長でフレンチシェフ出身である松村康史氏の高い調理技術で、ミシュランガイド東京において2022〜23年版の2年連続で“一つ星”を獲得している。
同店は海外からの人気も高く、席数もわずか6席と少ないことから、これまで「最大6時間待ち」といわれる長蛇の行列が常態化していた。外国人観光客は滅多に日本へやってこない人も多く、行列に並ぶ時間を短縮できれば、もう1〜2カ所、例えば築地場外市場や浅草、東京タワーにも足を運べるだろう。つまり、限られた時間を効率的に使えるのなら、多少高い金額を払って並ぶ時間を短縮して良いというニーズがあった。銀座 八五がテーブルチェック・ファストパスを導入した背景には、このような事情があった。
銀座 八五を経営する、Food Operation Japan(東京都千代田区)の広報担当者によると、テーブルチェック・ファストパスを使える時間帯は午後に限っているという。現状は、1週間に30の枠があり、毎週土曜日の午前9時に受け付けを開始すると2〜3分で枠が埋まってしまう状況にある。テーブルチェック・ファストパスの料金は500円だが、この程度の料金を追加しても行列をスキップしたい人が絶えないということだ。
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