2023年度(2023年4月〜2024年3月)に、負債1000万円以上の企業で粉飾や脱税など「コンプライアンス違反」が発覚した企業の倒産は何件発生したのか。帝国データバンクが調査結果を発表し、前年度比16.6ポイント増の352件が発生したと分かった。3年度連続で前年度を上回り、比較可能な2003年度以降で初めて350件を超えた。
業種別にみると、最多は「サービス業」で88件(構成比25.1%)。「建設業」が61件(同17.4%)、「小売業」が57件(同16.2%)で続いた。
コンプライアンス違反の類型別に見ると「業法違反」が最も多く、84件だった。2位は「粉飾」(81件)、3位は「資金使途不正」「その他」(各56件)が続いた。
2位の「粉飾」はコロナ禍前から増加傾向にあったが、2020年以降のゼロゼロ融資など各種支援策の効果があり、表面化しづらい状況が続いていた。しかし、アフターコロナで資金調達の環境や経済環境が変わり、再び増加傾向を示している。
帝国データバンクは「コロナ融資で過剰な債務を抱えた企業が、資金繰りの悪化から金融機関に対して返済猶予や追加支援を申し入れたタイミングで粉飾決算が発覚、金融支援の道を断たれ行き詰まるケースなどが見られた」とコメント。ささいなコンプライアンス違反でも信用が大きく失墜する事態となりかねず、経営者には法令順守による健全経営の意識が求められるとしている。
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