レンタルビデオ→書籍→? 「SHIBUYA TSUTAYA」オープンのCCC、二度のピーク経て変化を続けるビジネスモデルに迫る(1/5 ページ)
渋谷の店舗を刷新して「新しい文化の聖地」を目指すSHIBUYA TSUTAYAがオープンした。レンタルで一世を風靡してきたTSUTAYAは今、どのような成長戦略を描いているのか。
1990年代から2000年代にかけて、レンタルビデオ・DVDチェーンとして勢力を拡大してきたTSUTAYA。しかし動画配信サービスの台頭を前に2010年代から店舗数が減少し、レンタルサービスを提供する約600店舗は現在、厳しい状態にある。
一方、出版不況にもかかわらず書店事業は成長を見せている。2011年から展開する「蔦屋書店」は、今や書店の枠を超え、人気のレジャースポットになっている。近年ではシェアラウンジ事業も手がけており、本記事ではこうした時代とともに変化してきたTSUTAYAの軌跡を追っていく。
横ばいのレンタル市場で成長できたワケ
TSUTAYAのルーツは、増田宗昭氏が1983年に大阪・枚方市で創業した「蔦屋書店」にある。DVDはおろか、まだCDも広く流通していなかった当時、レコードとビデオをレンタルする書店としてオープンした。
その後、1985年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)として法人化し、FCでの拡大路線を歩み始める。1994年からは書籍販売事業として「TSUTAYA BOOK NETWORK」を展開、書籍販売を行うTSUTAYA店舗を増やし始めた。詳細は後述するが、同事業はレンタル事業に置き換わる収入源として、TSUTAYAを助けることになる重要なものだ。
1999年には渋谷スクランブル交差点のランドマークといえる旗艦店「SHIBUYA TSUTAYA」をオープン、翌2000年には東証マザーズへと上場を果たした。「Tポイント」のサービスを始めたのは2003年で、会員の数は2007年に2000万人、2008年に3000万人と著しく成長していった。
CCCの売上高を追っていくと2002年3月期は約1072億円だったが、2006年3月期には2000億円を突破。そこから2200億円前後で横ばいが続いたものの、2000年代の後半はCCCにおける“第1次ピーク”といえるだろう。
レンタルビデオ・DVD市場自体は1990年代から横ばいだった中で、TSUTAYAやGEOが成長できたのは、大手ならではの資本力やブランド力を生かして規模を拡大できたからだといえる。チェーンの規模が大きいほど、人気の作品を把握して加盟店に共有しながら陳列の最適化などを図れる。一方、そのメリットを持たない個人店や小規模業者は、両チェーンが勢いを増していくのと反比例に、姿を消していった。
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