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どうなる「イトーヨーカ堂」 衣料品売場で起きているすごい変化 伝統的な強みを取り戻せるか長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)

苦戦が続いているイトーヨーカ堂だが、衣料品売り場で新しい挑戦をしている。同社の歴史を振り返りながら、復活の可能性を探る。

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競合より高かった経常利益率

 イトーヨーカ堂の売上高は、1999年2月期の1兆5451億円がピークで、以降は減少しているのが実情。同期の経常利益は712億円で、店舗数は169店だった。

 売上比率は、食品39.5%、衣料品29.0%、住居関連部門16.9%、その他14.6%となっていた。つまり非食品が6割を占めていたのだ。衣料品は3割を占め、まだまだ力を持っていた。

 その頃のイトーヨーカ堂は競合他社に比べて利益率が高く、上手く経営しているとされていた。そうした自負は社内にもあって、SC開発に遅れる要因となったのは、歴史の皮肉だ。

 例えば1999年度(2000年2月期)の売上高経常利益率は、ダイエーの0.05%、ジャスコの1.8%に対してイトーヨーカ堂は3.4%あった。薄利多売ではなく、中流の家庭が喜ぶ売れ筋商品をそろえていて、POSデータを現場に還元する情報活用も進んでいた。


イトーヨーカドー食品売場(出所:イトーヨーカ堂公式Webサイト)

 1998年頃から、メーカー・問屋・小売が一体となった「チームMD」という、顧客がほしいものを連続的に提供する商品戦略を採用するようになった。チームMDは衣料品を中心に先行展開し、他の売り場にも波及させていった。

 ところが、その後の売り上げが伸び悩んだ。チームMDが成功したかは微妙なところだ。

 2005年には、イトーヨーカ堂、セブン‐イレブン・ジャパン、デニーズジャパンの3社の株式移転により、セブン&アイ・ホールディングスが成立した。

 この後、チームMDをグループ内で最も成功させていたセブン‐イレブンが主導する形で、その手法を拡散させる「グループMD」に再編される。しかし、セブン‐イレブンは食品は強くても、衣と住の商品はほとんどカバーしていない。2007年に誕生したPBの「セブンプレミアム」により、イトーヨーカ堂の食品分野はシナジー効果で強化されても、衣と住の分野は、かえって衰退が加速する結果をもたらすこととなった。

 2016年に鈴木敏文氏がセブン&アイの会長とCEOを退任し、井阪隆一氏が社長に就任。井阪氏がグループの経営トップとなったが、基本的な方針は変わっていない。


セブンプレミアムの商品例(出所:リリース)

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