どうなる「イトーヨーカ堂」 衣料品売場で起きているすごい変化 伝統的な強みを取り戻せるか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
苦戦が続いているイトーヨーカ堂だが、衣料品売り場で新しい挑戦をしている。同社の歴史を振り返りながら、復活の可能性を探る。
新しいGMSの成長モデルを構築できるか
しかし、その後に思わぬ展開が待っていた。
アパレル業界3位の大手、アダストリアがプロデュースしたファウンドグッドの売り場が、イトーヨーカ堂の衣料品売り場の平場を継承する形で、新ブランドとして登場したからだ。
アダストリアは、2024年2月期の連結売上高2756億円、経常利益184億円で、過去最高の売り上げと利益を更新している勢いのある企業だ。代表的なブランドに「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」などがある。
ファウンドグッドは、2024年2月に先行導入したイトーヨーカドー木場店を皮切りに、同年7月までに64店への展開を計画。完全にイトーヨーカドーの衣料品売り場の顔になる。
アダストリアの中期経営計画のテーマの1つに、新規事業の開拓がある。ビジネスプロデュース事業もその一環だ。
既にGMS衣料品売り場のリブランディングとして、2022年9月より、中国・四国・九州に「ゆめタウン」を展開するイズミと協業。30〜40代の女性向けに、「SHUCA(シュカ)」というブランドを立ち上げている。自然体で飾らない女性に、コーディネートしやすい、清潔感のあるシンプルカジュアルなスタイルを提案している。2023年9月には、メンズにも拡大した。
アダストリアとイトーヨーカ堂は、アパレル撤退表明前から協議を重ねてきた。商品開発、商品の企画生産、売り場の空間演出、SNS活用のプロモーションなどは全てアダストリアが行っている。商品の発注、販売はイトーヨーカ堂の社員が行うが、接客のトレーニングなどもアダストリアが担当している。アダストリアのプロデュースといっても、形をつくって終わりではなく、まさに協業といったビジネスモデルになっている。
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