AI導入で自動化 それでも小売業には「人手」が必要なこれだけの理由:Retail Dive(3/4 ページ)
小売企業は、価格設定、在庫管理、チェックアウトなど、これまで以上に多くの業務を自動化できる。しかし、盗難防止、顧客サービス、ブランド・エンゲージメントには人間が必要だ。
真っ先に減らされる給与、その結果起こる問題は?
労働統計局の最新データによると、2022年、小売業全体の単位労働コスト(1単位のものを生産するのに必要な賃金)は上昇し、年間生産性は2008年以来初めて低下した。しかし、Retail Diveがカバーするほとんどのセグメントでは、生産性が上昇している。
GlobalDataのサンダース氏は「一方で、小売業の仕事はより複雑になっている」と指摘する。「オンライン注文のピッキング、宅配、集荷デスクなどの業務が、より多くの時間を吸収している。薬局チェーンWalgreensや小売企業Targetのような店舗の場合、多くの商品を保管することが店舗スタッフの負担となっており、労働力不足を引き起こしている」
小売業でのキャリアが長く、店舗勤務や経営に携わってきた米WD Partnersのリー・ピーターソン氏は次のように話す。
「私が小売業に携わって以来、誰が何と言おうと、最初に削減されるのは給与だ。店舗の仕入れに本当に100人必要なのか? 75人にして様子を見てみよう、と人数を削減するのは簡単だが、それは大きな間違いだ」
ピーターソン氏は数年前、ある小売業で最も生産性の高い店舗を経営する店長だった頃に、こんな電話を受けた。
「電話で『給料を○万円カットしなければならない』と言われたことを覚えている。冗談じゃない。客の来店を待つこともできない。店員の数を減らせと言うのか?」
ピーターソン氏は、店員がいない店舗は盗難に遭いやすく、顧客と関わる重要な機会を逃すと指摘する。「盗みを働く人間はいる。それを防ぐ努力をする必要がある。最善の方法の一つは、フロアに人がいることだ」
また、Aptos Retailのベアード氏は、労働生産性はコスト抑制の主要な要因だが、小売業は店舗での顧客との交流の価値を考慮に入れるべきだと指摘している。
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