物価高時代に、なぜ競合より「ちょい高」なコメダ・星乃が伸び続けているのか(3/3 ページ)
長く衰退を続けている喫茶店業界。その中で、多くの競合よりもちょっと高いながら人気を博しているのが、コメダ珈琲店と星乃珈琲店だ。両社の強みを探っていく。
そもそも決して「高い」わけではない
コメダ・星乃の両者は空間に関して高評価を受けている。一方で業界1位のスターバックスもリラックスできる「サードプレイス」を提唱し、空間づくりに努めてきた。都市部を押さえ、コロナ禍ではロードサイドで攻勢をかけるなど、商業的には大きく成功している。一方で近年、スターバックスは満足度や顧客ロイヤリティの低下がしばしば話題となっている。店内の騒がしさや値上げに伴うコスパの低下などが要因のようだ。
確かにスターバックスなどのセルフ式チェーンは、店舗によってBGMやPCの作業音、客の会話が騒がしいこともある。市街地やエキナカの店舗では席同士が近くて狭く、座り心地の悪い椅子が置いてある場合も多い。回転率を高めるためにあえてそうしているのだろうが、くつろげる空間とはほど遠い。
既に述べたがコメダの推定客単価は800円、星乃は950円だ。対するスターバックスはドリンク1杯(トールサイズ)で概ね420〜700円、スナック類は300〜400円であり、ドリンクにスナック1品を付ければ1000円を超えることもある。また、ドトールの客単価は400円程度である。
そう考えると、コメダ・星乃は極端に高いわけではない。普通のカフェに300〜500円追加すれば、雰囲気の良いサードプレイスでくつろげる。そのコスパの良さが人気につながったのではないだろうか。飲食業界で低価格チェーンの値上げが相次ぐ中、コメダ・星乃のような中価格帯業態が再び注目されている。土日の午後には30分以上の行列ができることもある両者だが、人気度はさらに高まっていくのかもしれない。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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