なぜ、月極駐車場に注目? ニッチすぎる存在をDXで“宝の山”に 驚きのビジネスモデルに迫る(2/3 ページ)
100年に一度の大変革期にある自動車業界。それに付随して注目なのが、月極駐車場ビジネスだ。これまではニッチビジネスだったが、大きく飛躍する可能性を秘めている。
ニッチではあるが、可能性を秘めた領域
月極駐車場を巡るビジネスは、ニッチ中のニッチといえます。というのも、駐車場の土地所有者にとっては、遊休土地のつなぎ的な運用手段として駐車場にしているケースが多く、メインのビジネスとして考えられていない点が理由の一つです。管理を任された不動産会社にとっても、1件当たりの賃料が安価であり、契約や管理の手間も考えると決して「おいしいビジネス」とはいえず、常に賃貸住宅の付属的存在でした。こうした理由から、双方にとって主要ビジネスになりにくいという点が、ニッチな存在と位置付けられる理由です。
そもそも駐車場ビジネス自体も、これまでは日陰的な存在でした。
駐車場ビジネスには、月極駐車場の他に時間貸しのコインパーキングもあります。コインパーキングは管理機器などの整備が進んだことで、近年多くの業者が参入して都心部を中心にレッドオーシャン化しつつあります。初期投資がかかり、車室の回転数によって売り上げが変動するため、駅前やオフィス街などの立地でないとビジネスが成立しづらいという問題点もあります。
対して月極駐車場ビジネスは、住宅や事務所が多い地域であれば比較的容易にビジネス化が可能です。しかし、初期費用が安価なものの、車室の数で売り上げの上限が決まっており、地元の不動産会社が賃貸管理の傍らで運営する程度の、注目度が低い遊休的ビジネス領域でした。とはいえ、一度契約したら転居するまでの間、契約を移転するというケースは少なく安定した収入源になる、というメリットもあります。
ハッチ・ワークは、この遊休的でマーケットが荒らされていないビジネス特性と、月極の安定収益性に目を付け、新たなビジネスを開拓したといっていいでしょう。
前者に関しては、同社の月極駐車場登録台数は現在31万台ですが、全国には約3000万台分の月極駐車場が存在するとしており(同社推定)、同社のシェアはまだ1%に過ぎないということから開拓の余地が大いにあるビジネス領域であることが分かります。後者に関しては、同社の月極イノベーション事業における売上高の約6割がストック収入であるとのことで、安定性を見込んでいるようです。こうした安定性の下、大いなる未開拓部分に推進をかけていくことで、息の長い成長が期待できるビジネスモデルである点が注目に値します。
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