Amazonファーマシー体験レポート その仕組みと収益モデルは?:がっかりしないDX 小売業の新時代(2/2 ページ)
Eコマースの巨人Amazonが、薬局を選んで処方薬を買えるサービスを開始した。どのような収益モデルなのか。
使い勝手のほどは?
Amazonファーマシーを開始早々に利用した薬剤師の友人に、感想を聞きました。
コンサルティングなどを手掛ける実務薬学総合研究所(さいたま市)の水八寿裕・代表取締役は、喉の炎症で耳鼻科を受診しました。その際に、電子処方箋を発行してもらい、Amazonアプリで自宅近くの大手ドラッグストアチェーンの薬局を選択しました。
水氏は、電子処方箋の控えを持って薬局に渡し、念のため名前と連絡先を告げてマイナンバー受付しましたが、Amazonファーマシーは電子処方箋控えの画像をアプリから送ればこの作業は不要です。
通常の薬局で行われる初回アンケートと同じ問診票の記載をアプリで行った後に、オンライン服薬指導予約の画面に遷移します。予約時間は30分単位で設定されており、水氏は午後4時から午後4時30分の枠で予約しました。
オンライン服薬指導の時間は自宅にいたので、スマホを目の前において午後4時ちょうどにアプリの「参加」ボタンを押したところ、ビデオ通話の画面になりました。始まるのを待っていましたが、なかなか連絡がきません。3分ほど経ったところで画面に「店舗での服薬指導のため、参加が遅れている可能性があります。状況を確認したい場合は、薬局に直接お電話ください」という表示が出ました。
同時に「薬局に電話して問い合わせる」というボタンが表示されます。8分待ってもつながらなかったので、このボタンを押したところ、ビデオチャットが終了して電話が立ち上がります。
すぐに電話に出たので「Amazonファーマシーでお願いしたのですが……」というと、保留の後おそらく薬局内で状況確認が行われて、「今、服薬指導開始という形でとらせていただいて……ですね。参加していただけると……」と慣れていない様子でした。
電話を切って、再度参加ボタンを押した後に、ビデオ通話での服薬指導が始まりました。服薬指導自体は通常と同様でした。
送料がかかる郵送ではなく、店頭受け取りを選んだので、その後薬局で薬を受け取りました。会計はアプリからAmazonで使っているクレジットカードで払われているので、店頭での支払いはなく、受け取って帰るだけでした。
水氏の体験から、Amazonファーマシーに参加した薬局がまだ慣れていない様子が伝わってきます。服薬指導の開始までは、薬局側は飲食店や小売店でのUber Eats対応と似た流れです。端末に情報が表示されるので、必要なアクションを行うことになります。運用やアプリのUXという点で、予約時間から開始するまでのロスには改善余地が大きいようです。
薬局も利用者もまだ手探りなAmazonファーマシーが今後どうなるかのヒントは、先行した米国にありそうです。次回は2020年にスタートした米国のAmazon Pharmacyとの違いについて紹介します。
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