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CX市場が急成長、2028年には1兆円規模に 「収益増」に向け押さえたい2つのポイントは?(3/3 ページ)

国内CX関連ソフトウェア市場は、2028年には1兆386億9500万円に達すると予測されている。一方、世界各国と比較して、日本企業のCXに対する優先度はまだまだ低いのが現状だ。今後さらに市場を伸ばし、顧客体験の最適化によって売り上げを上げていくためには、押さえるべきポイントがある。

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CX施策で「収益」を上げていくフェーズへ 成功に向けたポイントは?

 世界各国と比較したら少し遅れてはいるものの、太田さんは「ここからの国内CX市場の伸びしろは大きい」と話す。

 2024年現在、多くの企業でCDP導入が進み、顧客データ基盤が整ってきた。今後は、データを活用し、パーソナライズした顧客体験を提供。CX施策によって収益を上げていくフェーズに移行していくことが予測される。

 「データを活用し、顧客の行動や嗜好に合わせて適切な施策を打っていくような取り組みが増えると予測しています。本当に必要な情報を見極め、顧客の求める情報を適切なタイミングで提供することで、顧客との信頼関係が強固になります。今後は、データを活用して顧客満足度を高め、ビジネス効果を高めようとする取り組みが広がっていくでしょう」


(提供:ゲッティイメージズ)

 CX施策への投資により、ビジネス効果を高めるには、以下のポイントを押さえることが重要となる。

 まず1つは、組織体制の見直しだ。今後、CX向上に対する取り組みや投資は、より全社を巻き込んだものに変化すると予想される。CX施策に対しどの部署が責任を持つか明確にし、社内の意思決定体制を整えていく必要がある。

 もちろん、全社を巻き込んでCX向上を目指す組織体制を構築することは、簡単ではない。太田さんは「経営方針として掲げていくこと」が重要だと話す。

 「経営方針で『CX』の取り組みを掲げながら、トップダウンで進めることで、社内で『CX向上に取り組むことは会社の成長にとって必要だ』という共通認識を形成していくことが重要だ」

 具体的には、横ぐしのプロジェクトチームを作り、部署間で円滑に連携、情報共有できるような仕組みを作っていく。システムの選定の際は、実務を担う部門の責任者などが選定に関与していくことが有効だという。


2024年CXユーザー企業調査結果_CXに関する社内体制。全項目で前向きな変化が見られる(提供:IDC Japan)

 もう1点は、データ活用の範囲拡大だ。現状、顧客データの活用事例は、マーケティング施策に関連するものが多い。今後は、データから新たなニーズを発見し、新製品を開発したり、カスタマーサポートで顧客満足度向上に向けた取り組みを講じたり、マーケティング以外でのデータ活用事例が増えていくことが予測される。

 「これまでは、今ある商品・サービスの売り上げ増のためにデータを活用する企業が多かった印象があります。今後は、商品開発や経営企画などと連携し、新しいビジネスを生み出すという視点でのデータ活用に、伸びしろを感じています」

 最近は異なる業種間で、顧客データ活用における協業の動きが進んでいる。「自社では得られないデータを、協業によって他社から提供してもらい、新サービスの開発などに活用するケースもあります」


予算が大きければ大きいほど、CX施策のROIは高くなる。全社的に取り組み、予算を投じることで大きな成果が見込まれる(提供:IDC Japan)

 世界各国と比較したらまだ少し遅れているものの、今後ますます発展が見込まれるCX関連市場。単に業務効率化にとどめるのではなく、データ活用によってビジネスをどう変革させていくか、攻めの姿勢を持って取り組む企業に軍配があがりそうだ。

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