コラム
なぜ、スシローは「デジタル」な寿司を回すのか くら寿司はエンタメ性の高い店舗にこだわり 戦略の違いを考察する(3/3 ページ)
迷惑動画事件以降、回転レーンでの商品提供で各社の対応が分かれた。特にくら寿司は、エンタメ性などの観点からレーンでの提供を継続しているのが特徴であり、一方のスシローは「デジロー」などに取り組む。あらためて両者の違いに目を向けてみよう。
縮小する国内から、海外での店舗増へ
くら寿司は国内で約550店舗、スシローは約650店舗を展開しているが、国内店舗数は既に頭打ちとなっている。人口減少を見据え、両者とも海外事業を強化する方針だ。くら寿司は2024年10月期第2四半期時点で米国に59店舗、アジアで58店舗を展開しており、海外店でも日本と同様、アニメとのコラボ企画を実施している。もちろんレーンに商品を流し、国内店と同じくビッくらポン!も健在だ。
対するスシローは、2024年9月期第3四半期時点で海外に159店舗を展開する。台湾と中国大陸がともに42店舗、香港は29店舗、タイが25店舗と、中華圏への比率が高い。今後は2026年9月期末までに201店舗という目標を立てている、中国大陸を中心に出店する計画だ。海外店の内装は日本と同様で、特にエンタメ性を訴求するような印象は受けない。国内店との違いはリアル回転寿司がある点のみだ。
一定のエンタメ性を持つくら寿司と、スタンダードな回転寿司店のスシロー。海外事業でも日本と同じ手法で差別化を図ろうとする様子がうかがえ、今後に注目が集まる。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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