不動産DXに欠かせない、画像認識AIの絶大な効果とは?:不動産DXのいまを知る(2/3 ページ)
アットホームでは画像認識AIを活用しながら、画像チェックの業務効率化に役立てている。今回は、その事例をもとに不動産DXにつながる内容について解説する。
不動産業界における活用例は?
不動産業界でも、画像認識AIは徐々に活用の幅が広がっています。
アットホームが運営している消費者向け物件検索サイト「不動産情報サイト アットホーム」では、分譲販売時の建物の情報や現在の募集情報、周辺の建物情報を提供する「建物ライブラリー」というページにおいて建物の外観画像を掲載していますが、そこに画像認識AIを活用しています。
本ページでは、不動産会社が登録した物件画像から自動で外観画像のみを表示するようにしています。しかし、外観画像を登録する欄に外観以外の画像を登録してしまい、外観ではなく室内など別の物件画像が表示されることがあり、消費者や不動産会社から指摘が入ることもありました。
これまで、適切な画像(外観の画像)以外が掲載されていないかどうか全ての画像を目検でチェックするには多くの人手を要するため実現できませんでしたが、AIを活用することで全件漏れなくチェックができ、高い精度で判定できるようになりました。現在は「建物ライブラリー」で検索する消費者へ適切な画像情報を届けられるようになっています。
外観判定の裏で行われているAIの動きは?
次に、画像認識AIを活用した判別の仕組みについて解説します。
画像を種別判定するAPIにリクエストすると、その画像の種別(35種類)と確信度(識別した際の精度)がレスポンスされます。種別判定に加え、非表示処理も兼ねることで対応に携わっている時間を大幅に短縮できています。毎月約1万2000件の画像判定処理を行っており、完全に自動化しているため、人的作業は一切必要ありません。処理は夜間に実行され、約6時間で完了します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「間取り図×AI」で進化する物件情報 顧客、不動産会社へのメリットとは?
不動産業界ではAIを活用した間取り図の作成や物件特徴を抽出するサービスが増えている。AI活用で、消費者が間取り図から得られる情報の量や質の変化、不動産会社側の業務効率化について紹介する。
生成AI×不動産の可能性とは? 「物件画像」の作成と課題から考える
消費者に居住イメージを届けるホームステージング画像。画像生成AIで生成することはできるが、多くの課題も。課題解消へアットホームが取り組んでいる研究とは――。
画像生成AI、不動産業務にどう活用できる? 物件画像のクオリティーアップも
住まい探しで物件画像は欠かせない情報だ。不動産ポータルサイトに掲載するためには、物件画像の撮影だけでなく編集、加工など追加操作が必要となる。不動産DXの推進において画像生成AIを活用する方法を探る。
物件情報の作成、AIがサポート アットホームが挑む不動産DXの現在地
新連載「不動産DXのいまを知る」では、アットホームラボ代表取締役社長の大武義隆氏が、不動産業界のDX推進において活用するAI技術や先端技術との親和性、活用方法やその効果、将来性などについて解説する。
契約にかかる時間「60→15分」に短縮も 不動産取引のデジタル化がもたらす効果とは?
三井不動産グループの賃貸管理会社、三井不動産レジデンシャルリース(東京都新宿区)は、イタンジが提供するクラウドサービス「電子契約くん」を導入。契約書の作成をオンライン上で完結でき、契約書類の郵送や、顧客の来店が不要となる。サービスの導入で、現場にはどのような効果が生まれているのか。


