「密室」が新しいメディアに 成長続けるデジタルサイネージの一角、エレベーター広告とはどんなビジネスなのか(1/3 ページ)
成長が続くデジタルサイネージ市場において、代表的なのがエレベーター広告だ。同事業を手掛ける株式会社東京に、ビジネスの内容や将来性について聞いた。
「株式会社東京」(東京都新宿区)という企業をご存じだろうか。2017年設立のベンチャーであり、近年見かけることも多い、エレベーター広告を運用する企業だ。丸の内など都内の高層オフィスビルを中心に、同社のサービスを導入するエレベーターの台数は年々増えており、今後は中部・関西にも進出しながら全国展開を目指す方針だという。そもそもエレベーター広告はどのようなものであり、どの程度の効果があるのか。同社COOの大塚雅也氏にサービスの詳細と今後の展開について聞いた。
出稿はBtoB企業がメイン 手持ちぶさたなエレベーター内をメディア化
同社ではビルオーナー向けに「東京エレビGO」「エレシネマ」という2つのサービスを提供している。東京エレビGOはエレベーターホールに設置したモニターを使ったサービスである。一方のエレシネマは、エレベーター内に設置したプロジェクターを使い、扉の上部に投影する仕組みだ。都心の高層オフィスビルを中心に、現在は両サービス合わせて約3500台を設置している。
映像として、具体的にどういった内容を放送するのだろうか。大塚氏は次のように話す。
「6分の放送時間であれば、コンテンツ枠(2.5分)、広告枠(2.5分)、オーナー枠(1分)という形でいくつかに分けて放送します。運用は広告枠のスポンサー収入を基にしており、コンテンツ枠では最新のニュースや天気、観光地特集などを放送し、オーナー枠ではビルオーナーが放送したい内容を流しています」
コンテンツ枠ではビジネス映像メディア「PIVOT」が制作した番組も流している。また、広告枠ではBtoB向けのコンテンツ配信が多いという。
「オフィスビルへの設置がメインですので、広告枠はオフィスワーカー向けの広告が多い傾向にあります。出稿いただいているのは日系大手や外資などのBtoB企業で、サービス紹介ではなく企業イメージを印象付けるブランディング広告が目立ちます。特に丸の内は決裁権者も多いですから、そうした層に合わせた広告も多いですね」(大塚氏)
エレベーター内は手持ちぶさたになりがちなものだ。扉に何か流れていれば何かと注目しがちなことから、広告としての効果は確かに大きいかもしれない。
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