代表者が高齢になるほど黒字企業率は低下、70代以上の黒字企業率はコロナ禍を下回る(2/2 ページ)
東京商工リサーチが行った「代表者の年代別財務分析」で、代表者が高齢になるほど企業の業績は悪化する傾向が強いことがわかった。2023年度の黒字企業率1位は、代表者が「40歳代」の企業だった。
経常利益率は?
代表者の年齢別の経常利益率(中央値)は、2023年度は「40歳未満」が3.0%で最も高く、次いで「40歳代」が2.66%と、黒字企業率と同様に代表者が若い企業で経常利益率が高かった。
一方、「70歳代」は2.4%、「80歳以上」は1.9%と黒字企業率と同様に代表者が高齢の企業ほど悪化した。代表者の年齢1歳ごとに最新期の経常利益率(中央値)を点で示した散布図をみると、代表者が高齢になるほど利益率は右肩下がりに低下する傾向を示していた。
産業別で経常利益率(中央値)をみると、80歳以上で高かったのは「金融・保険業」(10.3%)、「不動産業」(11.0%)で、特に金融・保険業では「金融商品取引業、商品先物取引業」、不動産業では「不動産賃貸業・管理業」で利益率が高かった。保有資産で収益が左右されやすい金融・保険業や不動産業は、代表者が高齢であるほど利益率が高い傾向を示した。
東京商工リサーチは「代表者が高齢の企業ほど長期的な設備投資や経営改善に消極的になりやすく、環境変化への対応が進みにくい。『身売り』同然の事業譲渡を防ぎ、早期の事業承継に着手するためには、金融機関と信頼関係を深め、政府や自治体などの支援で円滑な事業承継を後押しすることが求められる」とコメントしている。
今回の調査は、東京商工リサーチが保有する財務データベースから、2023年4月期〜2024年3月期を2023年度とし、売上高、経常利益、当期利益が確認できた企業(変則決算を除く)を対象に、代表者の年齢別で黒字企業率、経常利益率を集計した。
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