時代に逆行してあえて「地方・築古・一戸建て」に着目 社会問題化する「空き家」活用ビジネスが今アツい(1/4 ページ)
社会問題と化しつつある空き家を活用するビジネスが好調だ。今回はその代表格であるカチタス社のビジネスモデルに迫る。
近年、少子化に核家族化、単身世帯増加などの流れを受けて、多くの一戸建住宅が空き家化しています。2023年現在、日本の空き家は900万戸(国内の住宅総数に占める割合は13.8%)。地域経済の地盤沈下、空き家の管理不在による景観の悪化や防犯上のリスクなどが、社会問題化しています。
この時代にあって地方の空き家に着目してリフォーム販売し、グループ合計で年間約7000戸を売り上げ、11年連続全国1位(リフォーム産業新聞調べ)を続けている企業があります。群馬県桐生市に本社を置く、東証プライム上場のカチタスです。
カチタスは1978年、群馬県桐生市で石材業を営む「やすらぎ」として創業し、1980年代後半から不動産業に進出しています。実は筆者は、不動産業から中古住宅販売を主業に移しつつあったやすらぎ時代に、銀行員として付き合いがありました。
当時はバブル経済崩壊後の不況が長期化する中で競売物件が多く存在したことから、創業者の須田忠雄氏が独自のビジネスモデルを考案しました。それは、競売物件を安価で仕入れ、それをリフォーム販売することで大きな利幅を得ようというものです。
しかし競売物件は、その大半が落札前には内部確認ができないことや、ものによっては不法占拠者がいるものもあります。すなわち、落札はしたものの想定以上にリフォームの手間がかかるものや、不法滞在者の立ち退きに思わぬ高額コストがかかる、といった費用的ロスも一定の割合で見込む必要があったのです。
また、不法占拠者が反社会的勢力関係者のケースもあることから、同社のビジネスにはグレーなイメージもありました。同社は2004年に名古屋セントレックス市場へと上場していますが、希望していた東証では上場が難しかったのには、さまざまな背景があったのだろうと推測できます。
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