寄付27億円を集めた北海道「人口5000人の町」でサウナフェス開催 狙いは?(1/2 ページ)
北海道十勝地方にある人口5000人の「大樹町」で、自然を生かした体験型イベント「リフトオフ」が開催される。今回は約200人の集客を見込むものの、開催には大樹町ならではの課題があるという。大樹町長や総合プロデューサーを務めるホリエモンこと堀江貴文氏に狙いを聞いた。
北海道十勝地方にある人口5000人の町「大樹町」。宇宙のまちとして知られ、JAXAや民間の宇宙開発企業「インターステラテクノロジズ」をはじめとする宇宙関連企業の集積地となっている。町の東と南が太平洋に面しており、ロケット打ち上げに世界的に適した立地として、1980年代から産業誘致が進んできた。今ではJAXAや大学だけでなく民間の宇宙開発企業が進出している。
そんな大樹町で、自然を生かした体験型イベント「リフトオフ」が開催される。主催は2023年10月に大樹町に進出した食品販売企業 「ビショクルfrom大樹町」で、大樹町が後援する。
リフトオフでは、自然を舞台にした7時間の「アドベンチャーレース」や、野外テントと自然の河川を活用したサウナフェス、大樹町の主要産業になりつつある宇宙関連施設の視察ツアーなどを実施。イベントを通じ、大樹町の新たな魅力発信と、観光産業創出の狙いがある。
リフトオフは10月25日(金)午後3時から27日(日)の正午過ぎの3日間にかけて実施。1回目となる今回は200人の集客を見込むものの、開催には大樹町ならではの課題があるという。大樹町長やビショクルfrom大樹町、総合プロデューサーを務めるホリエモンこと堀江貴文氏に狙いを聞いた。
「27億円」の企業版ふるさと納税 なぜ集まった?
大樹町では航空宇宙産業の誘致を40年にわたって進めており「宇宙のまち」としてアピールしている。今では民間の宇宙開発企業だけでも、堀江氏が取締役ファウンダーを務めるインターステラテクノロジズと、大樹町で民間にひらかれた商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」の開発・運営を手掛けるSPACE COTANの2社が本社を置く。日本でもまだ多くはない民間の宇宙開発企業2社が拠点を置くことから、宇宙産業で働きたい優秀な若者が全国から集まっていて、若年層の人口が増えている。
大樹町の黒川豊町長は「若者が増えたことで、町にも変化が生まれている」と話す。
「大樹町内では新たに飲食店が複数開業しています。特に数年前にはドラッグストアも進出し、住民の利便性の向上にもつながりました。大樹町はここ半世紀以上にわたって人口が減り続けていましたが、少子高齢化が全国的に進む中、企業誘致により人口増となった年もあります」
税収面でもその成果が出ている。2022年度の企業版ふるさと納税では、大樹町は全国2位に輝いた。北海道スペースポートのプロジェクト資金としての支援が全国から集まった形で、14億685万円の納税額となった。2020〜23年度の4年度分の寄付額はのべ27億7200万円に上る。黒川町長は「宇宙産業による地方創生や経済活性化に全国の企業が共感した」と手応えを話す。
このように大樹町では民間を中心とした宇宙産業によって、地方創生にもつながる好循環を生み出している。
企業誘致から観光創出へ
企業誘致に伴い、飲食店も進出する大樹町だが、今後新たな産業創出への期待も生まれている。
「宇宙産業の発展に伴い、出張客が増えたことにより、宿泊施設の部屋数も増えています。2023年には、新たな宿泊施設も町内にできました。今回のリフトオフで、宇宙のまちだけでない、観光面での魅力発信につなげられたらと考えています」(黒川町長)
北海道は観光業でも栄えてきた歴史があるものの、大樹町内には目立った観光地がなく、スキー場などもない。そのため観光開発が進んでこなかった経緯がある。一方で世界から日本を訪れる外国人旅行者の数は過去最高となっていて、北海道にも多くの観光客が訪れる。そのためコロナ禍が明けた現在は、大樹町を観光地として売り出す格好の機会だ。
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